オシオキ7

幸村は外灯の下で寄り添った二人を見てから、ずっと自分の中で燻っていた考えに決着をつけたところだった。
眼下に見た、唇を吸い睦み合う二人に沸いたのは、腹の奥が煮えたぎるような嫉妬と、己もあのようにまこと殿に触れたいという願望だった。
前田殿になりたいわけではない。
自分は己として、前田殿のようにまこと殿に触れたいのだ。
しかし、前田殿のように触れられるのは恋仲である前田殿のみ。
己が己として、まこと殿に触れようとするならば───。

柔らかく、手に吸い付くようだった尻肉は、真っ赤に腫れて小さく震えていた。
薄らいではいるが、そこには未だ花弁のような淡い所有印が消えることなく散っている。

『そう、これは仕置きなのだ』

幸村は震える尻たぶをぐわしと鷲掴むと、熱い肉のその柔らかさに身の内がカッと熱くなったのを感じ、一度固く目を閉じる。
そうして再び眼を開いた時には一切の迷いを振り切り、ぷるぷると震えるまことの尻に向かって大きく口を開いた顔を寄せていった。

佐助に打たれたまことの尻は、いつもの通りに火がついたようにじんじんと熱く、幸村の吐息が肌を撫でるだけでヒクリと内股が痙攣してしまう程過敏になっていた。
それなのに幸村の固い手にそこの肉を握りこまれ、痛痒いような、背筋がぞわりとする何かがまことの全身に走り抜ける。

「!っ、う・・・ひぃ・・・っ」

ぶるり、と身震いをしてその衝撃をやりすごすと、じんわりとペニスの奥が重く、切なくなってくる。

『なんで、なんでおしおきなのに、痛いのに、おちんちんのおく、じんじんするのぉ・・・っ!ひぅっ?!』

固い手のひらの次は、幸村の熱い舌がまことの尻たぶに押し当てられた。
ぬるりとした舌がまことの腫れた尻の皮膚を這いずると、ぴりぴりとした痛みと同時にやはりペニスの奥を針で突付かれているような感覚を感じてしまう。

「ゆきむらさ、だめ、ぬるぬるだめなのぉっ!おしり、ちりちりして、あっ、ヒッ、吸うのもダメっ!ゆきむらさん!ダメ、それダメぇ・・・っ!」

ねっとりと厚い舌で触れた尻たぶは熱を持っていて、このまま溶けてしまうのではないかと幸村は頭の端で心配をした。
しかし、すぐにその熱く柔らかな感触に酔いしれてしまい、夢中で肌に舌を這わせる事しかできなくなる。
つきたての餅のように柔らかで、ぢゅう、と吸い付くと素直に吸いついた唇の形に赤い跡が付くのが愛しくてたまらない。
内股に、尻たぶの狭間に、睾丸の横に、と先ほど見つけた慶次の所有印の跡を覆うように、幸村は舌を這わせるとそこに吸い付き、赤色を通りこした青黒い内出血の跡を点々と残してゆく。
ふいに舌先に塩気を感じ、うっそりと閉じていた瞳を開けると、目の前の睾丸が固く持ち上がり、勃起したペニスから先走りが股座にまで垂れ流れてきているのが見えた。
その淫猥な光景に、ズン、と下腹が重くなる。

「ひあぅ、んっ、ひぃっ!だめ、ちゅっちゅってしちゃだめぇ!ちがうっ!おしおきって、おしおきって言ったのに!こんなのっ!こんなのちが、ッ、いアアア゙ッ─!」

おしおきじゃない、と抗議するまことの右の尻たぶに、幸村は思い切り歯を立てた。
背中を反らせて叫び声を上げるまことのペニスからは噛み付かれた衝撃で先走りが噴き出し、勢いよく畳に飛び散り小さな音を立てる。
わなわなと震える唇から溢れ出る唾液をぬぐってやりながら、佐助は真っ赤に染まった耳朶に唇を寄せ、吐息混じりに声を吹き込む。

「オシオキだよまこちゃん、これは全部オシオキ。ね、旦那?」
「ああ、全部仕置きだ、まこと殿。・・・恋仲ではない某等に触れられ、快楽を感じてしまう事、それ自体が罰になるのだ」

『仕置きでなければいけない』と自分にも、まことにも言い聞かせるように幸村は低い声で呟き、歯型の付いた尻を舌先でちろちろと舐め上げる。

「ふぁ・・・、んっ・・・、ぜんぶ、おしおきなの・・・?あぅ、ん、ぺろぺろ・・・するのも、がぶってされて、きもちよくなっちゃうのもおしおきなの?」
「ああそうさ、風来坊じゃない男に触られて、気持ちよくなっちゃうなんて嫌だろ?・・・って、まこちゃん、お尻噛まれて気持ち良くなっちゃったの?」

俺様はちょっとやりすぎたかなーって思ったんだけどね、と頭を掻く佐助に、まことは小さく頷いて「いたいのに、まこのおちんちん、じぃんってして、とろとろってなっちゃうの」と舌足らずな口調で返す。

「そっかそっか、まこちゃんはガブッてされるオシオキも好きなわけね」

実はさっきからずーっと気になっててさ、と佐助はまことの上半身に引っかかっていたチュニックを手際よく脱がすと、遠くの床に投げ捨てた。
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