は、と息を飲むとあたりは薄暗い闇に包まれ、まことはいつの間にか、自分の部屋の自分のベッドの上に仰向けになって横になっていた。
そうして、自分の上には佐助が跨り、にっこり、にっこりと顔を緩ませて「あはー、だよねぇ、まこちゃんはやっぱり俺様の事が・・・そっか、そっかぁー」と頷いている。
「ぇ・・・?さすけ、さん・・・?あれ・・・?ぼく、あれ?」
「・・・って、あれ?まこちゃん起きたの?!・・・・・・なるほど、ここまですればさすがのまこちゃんも目を覚ます、と」
・・・自分は忍の試験なんて受けていない。
昨日はお正月で、佐助さんと幸村さんと、佐助さんが例の怪しげな職場でもらったというものすごく豪華なおせち料理を食べた。
その後近所の神社に初詣に行っておみくじを引いたら三人とも大吉で、佐助さんが高い木の枝にひょい、と飛び乗って、それを括ってくれたのだ。
そういった佐助さんの忍術をすごいなぁと思うことはあっても、自分が佐助さんのような忍を目指すなんて夢のまた夢だ・・・。
そう、ゆめ・・・。
「・・・ぜんぶ・・・ゆめ・・・?」
そうだ、忍の研修を受けたのも、おかしな制服を着たのも、へんな植物に襲われたのも、・・・佐助さんといやらしい事をしたのも、全部夢だったのだ。
うんうん、と一人納得をしているまことに、佐助はふふ、と笑いかけてコツンと額をあわせてくる。
「・・・さすけさん・・・?」
「ん?まこちゃーん、どんな夢見てたの?俺様にも教えてくれる?・・・・・・尻の奥を、俺様のマラでガンガンに突いて、頭おかしくなるほどイきまくりたいんだよね?乳首もギチギチに抓られて、人がたくさんいる所で尻も、口も、たっぷり犯して欲しいんだろ?」
大好きな俺様にさ、と佐助は笑んでいるのにギラギラと底光りする瞳でまことをじっと見下ろしてくる。
ああ、やっぱりさっきの佐助さんは夢だった。偽者だったのだ。
こんな瞳、夢の中の教官の佐助さんは一度もしなかった。自分の身体を熱く煽る、この視線。
まことはその瞳を見つめるだけでくふんと鼻がかった吐息を漏らし、内股をこすり合わせる。
しかしそこがすでにぬるぬるとぬめり、そういえば自分はなぜか半裸で、先程の夢でも感じていたあの青臭い、いやらしい匂いが部屋中に充満している事に気が付き目を見開いて佐助を見返す。
「さ、すけさん・・・っ!な、何してたんですかっ!?こんな、ぼく、んっ・・・あ、やぁ・・・」
「ナニってそんなー・・・イイ夢見てたんでしょ?その内容とおんなじコト!・・・あ、これが姫初めになるのかな?あはー、まこちゃん、改めまして、今年もよろしくね」
そんなまことにしらじらしく、見とれるくらいにきれいなウィンクを一つ送ると、佐助はがばりとまことに覆いかぶさった。
そうしてまことは三が日を寝正月で過ごす事になり、佐助は新年早々幸村に鉄拳制裁を喰らい頬が倍にふくれあがった。
鏡開きの餅を焼きながら、これからふくれる餅を見る度に、同じように腫れてふくれた佐助の頬と、今年のお正月を思い出すのだろう、とまことはそっと顔を赤らめるのだった。