初夢2

人気がなくなった部屋で、全裸になったまことは小さな布を広げては裏返して、どこから体を入れるのか首を傾げながら取りあえずは、と一番大きく穴があいている襟元から足を入れる。
人よりも肉がついた円い尻がなかなか入らず、んしょ、んしょ、と苦戦していると、「あ、まこちゃん、それ後ろ前逆だぜ!」とどこからともなく佐助の声がかかり、まことはひゃぁ、と飛び上がった。

「!さ、佐助さん?!や、見ないでくださいっ!」

慌てて小さくうずくまり、体を隠しながら天井を睨み見上げていると、「残念、こっちでしたー。まだまだ修行が足りないねぇ」と部屋の壁がぺらりと捲れ、佐助が現れる。

「ほら、こっちが前、こっちが後ろ」

そうして顔を赤くして今度こそぷっくりと頬を膨らませしゃがみ込んだまことを、ぱぱ、と手早く着替えさせると、一歩離れて全身をチェックして満足そうにうんうんと頷かれる。

「ん、かわいい。俺様ってこっちの才能もすごいかも」

「かわいいって・・・これ、露出が多いです・・・」

袖も裾もなくタンクトップと短パンをあわせたツナギのような制服は、前にテレビで見たことのあるボンテージスーツに似ていてなんだか気恥ずかしい。
少しでも身じろぎすると睾丸がはみ出そうで、まことは慌てて内股になる。

「ぅ・・・佐助さん、本当にこれ制服なんですか・・・?僕、こんなの着て外になんか出られないです!」

しかし抗議するまことに返事もせず、佐助は指をコキコキと鳴らしてにんまりした笑みのままじりじりとまことににじり寄ってくる。

「・・・な、なんですか、」

たじ、と壁際に寄るまことに、佐助はわきわきと手を動かしながら一歩、また一歩、と近づいてゆく。

「あはー、まこちゃん。まだ終わってないぜー?紐締めなきゃ。ほら、逃げてないで後ろ向いて」

佐助の大きな手で二の腕を掴まれ、くる、と簡単に後ろを向かされると、その手のひらが体中を撫でて布地の余っている部分を伸ばしてゆく。
他意はなさそうな手の動きだが、うなじから脇の下、へその上、尻たぶの真ん中ときわどい所を掠めてゆく手のひらにまことの身体はピクリと小さく跳ねてしまい、そんな自分に羞恥を抱く。

『佐助さんは服を直してくれているだけなのに・・・。いつもの佐助さんじゃなくて教官なのに、なんでこんな・・・ぁ、』

く、と内股に固く少しささくれた指を入れられ、捲れていた布を直してくれる仕草にまことは必死に唇を噛み締めながらおかしな声を上げないように我慢する。
よし、これで大丈夫!と声を上げた佐助はそんなまことにちらりを目配せし、ますますにんまりとした笑みを深めると「この制服はまこちゃんのそういう所を矯正する役割もあるんだぜ?」ときつく噛み締められ真っ赤に染まった唇を指先でそっと拭う。

「・・・?僕のそういう所?それって、」
「ま、それは追々ね!んじゃ、・・・いっくぜぇっ!」
「なん、っ!?・・・か、はっ、ふっ、」

掛け声と共にぎゅむうぅ、と襟元の紐を引かれた瞬間、身体中がキツく締め付けられ、なんですか?という言葉の変わりに出たのはと肺の中に残っていた空気だけだった。
みちみちと皮が締まりぴっちりとまことの身体に張り付いてくる。
なだらかな胸元から乳輪の淡いふくらみ、むっちりした尻の肉付きの良さ、小振りな睾丸、ペニスがどんな形で収まっているのかさえも丸分かりだ。

「く、ぃ、くるし、」

「これで服の中に通ってる糸が張って、どんな攻撃にも耐えられるってわけ。こうしないとまこちゃんの身を守れないでしょ?今からずっとこれがまこちゃんの戦闘服!ほーら、立って立って、研修の続きいくぜ?んーと、ああ、次は城下町で旦那の団子買って来るんだ。お八つの時間分かる?あとちょっとしかないけど、遅刻したら・・・」

浅い呼吸しかできず、酸欠でくらくらする頭が佐助の言葉の意味を理解しようとしない。
したくないのかもしれない。こんな格好で人前に出るなんて、城下にはもしかしたら知っている人がいるかもしれない。
こんな格好をしているのを見られたら、どんな風に思われてしまうのか。

「ふく、服、上着、くださ、」

「まこちゃん。俺様みたいな立派な忍になるんだろ?わがまま言わないの、ほらこれお金」

佐助さんのような立派な忍になるなんて、いつそんな事自分は言ったのだろう。
弱弱しいまことの声はもちろん聞き入れられず、忍鳥は貸してあげるから、これでびゅーんと行って来な。と尻をパンッと叩かれる。

「ひぁ?!」
「ん、いい音。上等な皮使ってるからねー。・・・ああ、そうだ!遅刻したら尻叩き百回にしようか」

ほら、早く行かないとここで百回ぶっちゃうぜ?と佐助は小さく震えるまことの尻をまた一つパンッと打つ。

「ぅ、アッ!・・・っ、ヤ、いきますっ、いきますからぁっ!」

派手な音に比べ、尻に走る痛みは少ない。
そしてその少しの痛み以上に、不思議な痺れがビリビリと全身を駆け巡ってゆくのだ。
じんわりと熱をもつ身体にこのままではおかしな気分になってしまいそうで、まことは慌ててお金を受け取ると浅い呼吸を繰り返しながら忍鳥の足に掴まる。

「いってらっしゃい。気をつけてねー」

余裕で手を振る佐助は相変わらず楽しそうで、自分ばかり色々気にしてる、とまことはなんだか悔しくなって、空中でくるりと振り返るとべ、と小さな舌を佐助にむかって思い切り突き出した。
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