アンテナ

佐助はうららかな日差しの中、自分の主人と今お世話になっている家主が団子談義なんぞをしているのを屋根裏で聞くとはなしに聞いていた。

『平和だねぇ・・・』

屋根裏にいるといっても、別に潜んでいるわけでもなく「くわ、」とひとつ欠伸を漏らす。
忍びが通る事なんて考えてもいなかった、というようなこの家の造り。
初めてこの屋根裏に入った時はもうホント大変な有様で、佐助はこっちにいる間だけでも忍は廃業しようかなぁなんて考えた。
が、やっぱり燦燦と陽のあたる場所よりも、この身を隠せる仄暗い場所のほうが落ち着く、気がする。

「もう!幸村さんってば、知りません!」

「か、忝い!」

佐助がぼぉっとしていた間に何かあったらしい。
下で家主がぷんぷんと怒る声がする。
ほんとうに、ぷんぷん、といった風に怒る姿に佐助の顔がつい綻ぶ。
怒っていてもかわいらしいとは一体全体どういうことなのか。
しかし、あの子は俺様や他の人間の前では身体を縮こませて小さくなっているのに、何故か旦那に対してだけは妙に打ち解けている。
性的な事に敏感な子だから、そういう匂いの少ない旦那に安心して甘えているのだろうかと思った。
が。

『あれってどう見ても誘ってるんだよね〜・・・』

腰から腿までピッタリと体の線を浮かせる細身の下穿きに、それとは真逆の肩がずり落ちそうな程ぶかぶかの上着を羽織っている。
そんな格好をして、幸村の前で飛んだり跳ねたり、俺様には一度だって見せてくれたことがない満面の笑顔や怒った顔をさらしている。
あの、怒った顔が本当にいい。ツンと唇を尖らせて、上目遣いにこっちを睨んでくる顔。
この前教えてもらった『しゃしん』に是非ともおさめていつでも見れるようにしてしまいたい。

『あ、ここらだと胸丸見え』

屋根裏から覗いていると、ぶかぶかの襟元から桃色の乳輪がぷくんとふくらんでいるのが窺える。
やらしい身体だなぁ、なんてつらつら考えながらその胸を見つめ、佐助はあの乳輪を思いっきりすすった時の事を思い出した。

・・・女でもそうはいないだろう敏感な身体だった。
男のくせに肉付きがよい胸を揉みしだいて、あの乳輪にむしゃぶりつき、中央の穴を舌でほじった。
それだけであの子は白目を剥いて失神しそうになっていたし、魔羅だけではなく乳首も乳輪を押し割って、グンと勃起してきた。
それを育てようとたっぷりの唾液を絡めた舌で優しく舐め啜り、指先でそっと扱くと若鮎のように身体を跳ねさせて、最後にはやめて、やめてと泣きじゃくってしまった。
泣きじゃくって自分を拒否するくせに、それでも魔羅も乳首もどんどん固く膨らませてゆくので、ついつい嗜虐心が疼いて犬歯で挟んで胸の皮が伸びるまで引っ張ってみたら甲高い声で叫んで達してしまった。
しかも、プシャーと小水付きで。
俺様の下でガクガク痙攣しながら涙と精液と尿を垂れ流して失神した所を、先の叫び声で何事かと駆けつけた旦那にばっちり目撃され、顔が3倍になる程に殴られた。
旦那は顔を真っ赤にしながらも、家主の身体を清めて慣れない服を、慣れない手つきで着させてやり、決して俺様に手伝わせようともしなかった。
これってもしかするともしかするのかなー?なんてその赤くなった横顔見て思ったのだが、旦那のほうにはそこまでの秋波を感じられない・・・ような・・・って期待するのは俺様の願望?

下の二人は相変わらずうふふ、あははと花を散らせる勢いでじゃれついては笑いあっている。

『ん?』

佐助は服の隙間から覗く、家主の乳首がツンと頭を出しているのを見つけた。
あれれ?そんな空気だっけ?と慌てて幸村を窺うが、二人ともさっきと変わらずやれ団子だ、饅頭だ、とわいわいしているだけだ。

『ん〜??』

なんで勃っちゃってるのかな?旦那と一緒にいるから?俺様の気配なんてこれっぽっちも気付いていないでしょ?旦那と二人でいるだけで、乳首勃起させちゃうの?

「・・・淫乱な身体」

ぽつり、と佐助は呟きその突き出したいやらしい乳首を冷たく蔑ずんだ瞳で見下ろした。
すると、

『・・・あれ?』

ぷにゅん、と乳首が震えた気がした。
幸村と家主の顔を窺うが、先ほどと変わらず和気藹々とした空気だ。
・・・まさか、まさかね、と佐助は乳首をジッと見下ろす。
・・・プルプルしてる気がする・・・。心なしか、さっきよりも勃起してる・・・?

「・・・まさかまさか・・・、・・・でも、ほんっと、やっらしぃの、俺様に見られてるだけでそんなに固くしちゃうとか・・・」

ぽそぽそと呟きながら、乳首にジッと視線をやる。
ぷくん!
やっぱり!やっぱり育ってる!
家主の乳首は佐助の気配が分からないのにもかかわらず、その視線だけで本人も気付かずに乳首を勃起させているのだ。
と、いうことは、旦那と二人っきりだからじゃなくて、俺様の視線であそこまで勃っちゃったって事?!
そう分かった途端にふふん、と佐助の機嫌が浮上して、本腰を入れて屋根裏から眼下の乳首にむけてチラチラ秋波を送りはじめる。
でもこれって実はすごいんじゃないの?意外に索敵に使えたりして・・・って、乳首丸出しであの子歩かせたら、それだけでくたくたに蕩けちゃいそうだよねー。
そんな事を考えながらしばらく乳首を見つめていると、とうとう家主本人も何かがおかしい、と気が付き始めた。
なんとなく頬を染めながらきょとん、と首をかしげ、自分の乳首がビンビンに固くなっているのを見つけてぎょっとしている。
ふにゃり、と今にも泣きそうな顔になったのを見て、佐助の心臓がきゅん、と跳ねた。

『かわいい・・・んもー!そんな顔されたら俺様もっといじめたくなっちゃう!』

だがしかし、そのかわいらしくふにゃり、と歪んだ顔をみた幸村が、何事かと慌てはじめる。

「ど、どうしたのでござるかっ?!」

「や、ゆきむらさん、こっちこないでっ!」

家主は最初に佐助が勘違いしたように、自分が幸村と二人きりだから乳首を勃起させたと思い込んだらしい。
半泣きで幸村から距離を置こうと後ずさるが、幸村は涙ぐんだその子を逃がすはずがない。
手首を押さえられ、本気で心配そうに顔を覗かれれば覗かれるほど、家主の顔は真っ赤に染まり、はぅはぅと息も乱れてくる。

『ちょ、ちょっと待てって、そりゃないよ〜!』

これじゃトンビに油揚だ・・・。
いつもの嫌な流れになってしまっている。
この後、きっと人が変わったかのようにこの家主は・・・
はぅはぅはぅ、と荒げていた息がふ、と止むと、はぁんと甘い吐息が聞こえてくる。

「・・・ゆきむらさん、見たいの?ん・・・ぼくのおっぱい、ぷくん、ってなっちゃったの・・・はぅ・・・ん・・・ゆきむらさん、おっきくなったぼくの乳首、そんなに見たいの・・・?」

ほら、きた。
なぜかこの子は、旦那に対してだけこうやって挑発的な態度をとる。
く、と肩を寄せると涙のたまった瞳で幸村の顔を見上げて唇を舐めて唾液で湿らせる。
幸村に掴まれたいたはずの手首は、変わっていつの間にか家主のほうが握り返している。
白くて小さい手だ、幸村ほどの男が振りほどけないわけもないのだが、幸村も幸村で今まで一度たりてその挑発から逃れられた事はなく、顔を真っ赤に染めてガチンと固まり動けなくなっている。

「そ・・・そんな、某は・・・そのような・・・っ!」

「ゆきむらさん、やらしぃの、みたくないの?・・・ぁう、またおっきくなってきたよぉ・・・んぅ、みてぇ、ゆきむらさぁん・・・」

ん、ん、と幸村の手首を握っていないほうの手で上着をそっとたくし上げてゆく。
ごくり、と喉を鳴らした幸村は、顔を真っ赤にしてそこを覗くようにじわじわと首の角度を変えてゆく。
あと少し、もう少しで見えてしまう・・・

「はーい、やめやめ〜」

音もなく佐助は家主の背後に現れ、あと少しで見えるところだった乳首を両手でぱふんと覆い隠した。

「んな?!さささささささ、佐助ぇ?!」

「んひっ!、ちく、さわ、ひ、や、」

二人とも仰天して、声にならない叫びを上げている。

「まったく、二人してこんな真昼間っから如何わしい事しないで外で遊ぶとかできないわけ?」

ちなみにね、と佐助は未だ自分の手の中でぶるぶる震える家主に言い聞かせるように、その乳首が立った理由を語った。
決して旦那と二人きりだったからじゃないんだよ、あんたはそういう身体なの。誰の視線でも見つめられるとビンビンになっちゃうんだよ。

「な、佐助、無礼だぞ!」

「あはー、でも旦那、見て見て。この子、俺様がこうして乳首抑えてるだけでイっちゃうような子なんだよ?」

佐助が乳首を覆い隠した時、先ほどまでの高ぶりにくわえ、密かに指ではさんで刺激してしまったせいか、家主は痙攣して達してしまっていた。
肌にピッタリとしている下穿きの股の部分がじわじわと色を変えている。

「・・・ぅっく・・・ひぃっく・・・やだぁ・・・」

また顔を真っ赤にして黙りこくってしまった幸村を前に、家主は足を内股にして子供みたいにしゃくり始めてしまった。
そんな泣き方もたまらなくかわいい。
おーよしよし、俺様が立派に索敵できる乳首にしてあげるから、と佐助がうりうりと旋毛に頬ずりして慰めていると、我に返った幸村が拳を固めて振りかぶる。

その後数日間、4倍に膨れ上がった頬をしかめながら、佐助が「索敵の訓練」と称して家主の乳首を追い回す姿がみられるようになるのだった。
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