いたずらハロウィン8

まこと殿ぉお!!!もうしわけござらぁああんっ!という大声で、まことは一瞬気を失っていた自分に気がついた。
目の前すぐに、目を真っ赤にした幸村が顔を覗き込んでいて、まことは「にゅ!」と声を上げる。
どうやら毛布に巻かれ、幸村に抱きかかえられているらしく、ぽかぽかと暖かくてまことは再びまぶたがとろりと蕩けてゆくのに抗えない。

幸村は胸の中でぼろぼろになり、先ほどから一言も口を利いてくれないまことに本気で恐れを抱いていた。
このまままこと殿に嫌われてしまったら。もう二度と口を利いてもらえなくなったら・・・。
いや仕方のない事かもしれない、と先ほどまでどんな無体をこの小さな身体にしていたかを思い出し、うおおぉ!と幸村は思い切り自分の頬を右の拳で殴りつける。
あのように血が滾る事など戦場でしか経験した事なかった。それなのに、いくら心を揺さぶられたとて、守ると決めたまこと殿を相手に本気で挑みかかってしまうとは・・・っ!
行為の途中途中しか記憶がない。
柔らかな菊門に自身をめいいっぱい埋め込み必死に腰を振り付けていたと思ったら、今度はまこと殿が自分の上に乗り、尾をしゃぶりながら尻を振っていた。
しかし、何度も何度も射精する度、まこと殿の奥に注ぎ込み、あわよくば自分の子でも孕まないかと馬鹿げた事を願っていたのは覚えている。
毛布の狭間から飛び出ている耳に精液の名残がこびりついているのに気がついたが、幸村はもうその耳に手が伸ばせず、申し訳ござらんっ、もうしわけござらぁん!と謝罪を繰り返す事しかできなかった。


まことは幸村のとっとっとっ、という少し早い鼓動を猫の耳で聞き、暖かい腕の中と相まって殆ど意識をとばしていた。
眠くて眠くてまぶたが蕩けそうになりながら、近くで謝っている幸村に、なんとか怒っていないです、こっちこそごめんなさい、と返事をしようと口をひらく。
ひらくが、すとん、と闇におちる寸前口に出せたのは「ぅにゃーん・・・」という満足げな猫の鳴き声だけで、それを聞いた幸村がぎゅう、とまことを抱き上げると「っく、猫の言葉とは・・・っ!それほどまでに某の事を・・・!うぉおお!申し訳ございませぬぅう!!!許してくだされぇえ!!!」と咽び泣きに泣いた事など知る由もなかった。



ふ、とまことは目をあけた。とてもいい匂いがする。
周りが妙に明るくて、しかし時計を見上げると時刻は深夜だった。
身体の上にはふかふかの毛布と、更にその上に泣きつかれて眠ってしまった幸村が乗っている。
電気はついていないのにその幸村の頬に伝った涙の後すらはっきり見えて首を傾げるが、すぐにまた鼻にかかったいい匂いに、まぁいいか、とまことは頬を緩め、ふふふ、と笑った。
幸村の下から這いずりだした後、ちょい、と幸村の鼻をつつくと「まことどのぉ、もうしわけござらぁん・・・」と寝言を呟かれ、まことはきょん、と目を見開く。
寝言で名前を言われるのってなんだかとっても気恥ずかしい。
まことは幸村のふさふさした髪を撫で「幸村さん、だいすきにゃ」とそっと耳に返事をし、いい匂いの元に行かなくては、と鼻をふんふんと鳴らし身を翻した。

いい匂いは玄関の辺りから漂っているようだった。
まことは立ち上ろうとするが、腰に力が入らずよろよろとよろめき、ぽてんと畳にしりもちをつく。
その瞬間、ごぷっ、と尻穴の奥から泡だった何かが零れ落ちるが、まことはその感覚に身体を震わせただけで特に気にせず、歩けないなら・・・と四つんばいになり玄関を目指して這いずりだす。
たどたどしい足取りのまことだが、口元にはこらえ切れない笑みが浮かび、目はきらきらと輝やいていた。
耳と鼻は匂いの元を辿るのにぴくぴくとひくつき、ピンと立ち上がった尻尾は幸村が着替えさせただぼだぼの赤いパジャマの裾を捲り上げながら左右に揺れる。
その裾から覗く丸い尻からは、幸村が渾身こめて注ぎに注ぎ込んだ大量の精液がだらだらと流れ落ち、暗い廊下に白い跡を点々と残していった。

なんとか玄関に着き、引き戸のガラスに映った人の影にまことは目を輝かせてふらつく足で立ち上がる。
この人がいい匂いの元なのだ。
まことは自然と息を乱しながら勢い良く玄関を開けると、そこに立っていたのは左頬に斜め傷のある強面の男だった。
バチリ、と鋭い切れ長の目と視線が合い、さすがに我に返ったまことは「ひにゅっ!」と息を呑み、耳と尾っぽをピピッと伸び固める。

「お晩です。本日は家の者がとんだご迷惑を・・・」

しかし男は低い声で丁寧な挨拶をし、腰を折るとそっと折箱を差し出した。
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