月明かり5


「・・・僕は、いつの慶次さんでも好きですって言ったのに・・・慶次さんは、僕の胸ばっかり見ていて、話を聞いていなかったんでしょう?」

少しだけ潤んだ瞳を瞬かせたまことは、それを隠すように小さく首を振ると頬を膨らませ、唇をツンと尖らせた。
握られていた手の甲をきゅっと抓られて思わず「イテテ」と声を上げてしまう。
このまことの『俺』は、いつもこうしてこのまことに怒られているのだろうか、と変な勘繰りをしてしまう程慣れた仕草だった。

「それに僕は先から来たから・・・貴方を、今の慶次さんを知っているから、何も違和感なんて湧かないんだと思います・・・覚えています、慶次さんのこの触り方も、匂いも、全部・・・」

「なつかしい・・・大好きな、匂い・・・」そう言って、青年のまことはふんわり微笑むと抓ったばかりの慶次の手に頬擦りをした。

「・・・アンタ、やっぱりまこなんだな。ホントに。そういう笑顔すっごい似てる」
「あたりまえです。慶次さんも、その優しい顔、大人になっても変わってませんよ?・・・あ、そうだ、もう一つ慶次さんに教えたい事、あるんです」
「え?」

まことはふんわりとした笑みのまま、握った慶次の手を持ち上げるとそのまま再び着物の裾に突っ込んだ。

「だ、だから!俺はアンタじゃダメだって、」
「僕の・・・いえ、『宝野まこと』のイイ所、知りたくないですか?」

その言葉に思わず慶次の抵抗が止まる。
まだ、慶次はまことの『ソノ部分』を知らないでいた。
まことはかわいらしい事に、身体中どこを触っても感じ入ってくれて気持ちよさそうに、時折感じすぎて辛そうに、鳴き声をあげている。
穴の縁に指をかけた瞬間から畳に爪を立てて悶え、時には射精してしまう程なのだ。
しかし、穴の中をいくら探っても『イイ所』がなかなか見つからない。
慶次はいつかその『イイ所』をみつけ、かわいいかわいいかわいいまことが、いつか見たように自我を失くし、潮を吹き上げ気を飛ばす程に、ソコをめちゃくちゃにかわいがってやりたい、というなんとも下品な願望を抱いているのだ。

「いや、でも、そういうのは、ふ、ふたりでみつけて、」
「ん、ぁあ、慶次さんのゆびぃっ・・・!お尻にはいってくるぅ・・・っ」
「って!俺の話を、」

熱い肉壁の中に取り入れられてしまった手を取り戻そうとした慶次は、しかしその視界に入った光景に思わずすべての動きを止めてしまった。



自分の下のまことの身体は月明かりに照らされ、青年といえどもひどく華奢な物だった。
大きく開かれた足のせいで着物の裾はめくれあがり、慶次の鼻先までどことなく甘い性臭が漂ってくる。
そのめくれあがった裾の奥、手が挟まれている柔らかい腿の付け根、ゆるりと勃ちあがった陰茎の先は、自分の知るまことのものよりも真っ赤な色に熟れていた。
そして、とろりとした体液を零す陰茎、その根本には、ただただ子供のようにつるりとした無垢な下腹部があったのだ。

「な、い」
「ぁ、ふぅ、こ、ここです、ここっ!内側の、ン、ちょっとだけ、ふくれてるトコ、ぁああ、」
「けが、ない・・・」
「ひい、そこっ!そこぉっ!お、おくにっ!ふかくにあるからっ!わかりづらくてっ、ぁ、もっと、もっと強くぐりぐりぃってして、あ、も、もっとぉ!お、おちんぽで、いっぱい、強く突いてぇっ!」

陰毛がない。
まことの下腹部には陰毛がなかった。
月明かりを反射して、白く、滑らかな腹があるのみだったのだ。
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