月明かり1


慶次がまことを京に連れ帰り、蜜月を過ごし始めてしばらくが経っていた。
数か月、離れていた事が身に染みたのだろうか、おしどりの夫婦のように二人はいつもくっついてじゃれあい、ひと時も離れない。
一寸先には何があるか分からない戦乱の世の中で、愛する人と無事に再会し、二人で幸せな時間を過ごせる事に慶次もまこともお互いに感謝していた。

───のだが。
しかし、いくら愛があるといっても無理なものは無理があるという事を二人はすぐに思い知らされた。

「まこ、まこ、大丈夫か?」
「う、ン・・・慶次さん、もっと、もっとへいき、」
「えぇ?そうかい?ッ、こ、これ以上は・・・ちょっと無理だろぉ・・・?」
「ぅう、へいきなのに・・・あっ・・・」

まことと慶次の身体は、少々大げさに言えば倍に近い程の違いがあった。
更に数か月の間触れていなかったまことの尻穴はぴっちりと閉じていて、慶次の指ですらなかなか呑み込めなくなっていた。
毎日陽が落ちてからの日課になっている、まことと二人褥で過ごす時間。
最初の頃は、まことの尻穴を解す事に時間をかけ、甘い声をあげて鳴き通しの姿を見ているだけで慶次も大変満足していたのだが、めくれる赤い粘膜に次第にそんな満足も薄れ、指の代わりに熱いモノをハメ込みたい、ハメ込んで欲しい、と思うのは当たり前の事だった。



自分の下で大きく足を広げ、浮かせた腰を揺らしながらまことが息を詰める。
まことの細い腰、小さな尻穴には既にめいっぱいに己の肉が収まり、赤黒い皮膚に青黒く太い血管を浮かせ、まことのうねる媚肉を貪りたいと勝手に跳ねていた。
それを必死に理性で抑え込み、自分から見たら何もかも小さく、かわいらしい、愛おしいまことを傷つけぬようゆっくりと、浅く、緩く、優しく、腸壁を擦る。
これでも最初の頃よりもずいぶんと中に潜り込めるようになっているじゃないか、ここの筋の部分は前回は入っていなかった、と慶次は自分を慰める。

「ひっ、あっ、も、もっと!けいじさ、もっとおくっ!おくぅうっ!」
「っ、まこ、煽んなって!」

ぎちぎちとまことの腸壁が慶次の一物を食い締めた。
慶次もすべてを納め、思い切り奥を突きたいと思うけれどもどう考えても無理だ。キツすぎる。一物が千切られそうだ。
それでも伸びきって痙攣をして己の一物を必死に飲みこんでいるまことの健気な穴を見れば、下腹だけではなく胸奥もズクリと疼き、性感だけではない心地よさを感じられた。

「まこ・・・好きだぜ・・・」
「は、はいっ!ぼくもっ、っ、ぁ、あっ、あっ、慶次さん、」

顔を真っ赤にしたまことが大きく広げていた足で慶次の腰を挟みこみ、グイッと自分の腰に寄せた。
ミチミチとまことの腸壁が悲鳴をあげ、ベトベトに濡れた一物が慶次の固い腹に擦れて潰れるが、まことは溢れそうになる嬌声を喉の奥で飲みこんで、蕩けた瞳で慶次を見上げ、息も絶え絶えにやっと一言つぶやく。

「──けいじさ、おく、なか、なかに、だして、けいじさんの、いっぱいほしいぃ・・・」

その表情に、声に、仕草に、慶次の感覚のすべてが奪われた。
どくん、と身体中の血管が倍に膨れ上がったかのように感じ、限界突破をしていた性器がますますぐんぐん固く、背を伸ばす。
慶次はまことに返事をする事もできずに荒い呼吸を繰り返し、己の肉を突き立てている小さな尻穴だけではなく、むっちりとした尻たぶすら両手で揉み荒らして蹂躙し、柔らかな身体を押しつぶして激しく腰を振りたくる。

「イ゙ッ?!ッ?!はっ、ア、ンアアアアアー!」
「まこ、まこ、まこ・・・っ!」

慶次の固い腹で一物が捏ねられ、尻穴を揺さぶられ、まことのはその刺激でだらだらと粗相のように精液を漏らす。
戦慄いた身体から力が抜け、激しく抽挿していた慶次の陰茎がゴリリとまことの腸壁をひときわ深く抉った。

「───ひ、ぎ、───ッ!ッ!」
「っく、ぁ、出すぞ、まこ、なか、中にッ、」

慶次は幾度もうわごとのようにそう呟くと、熱く、ヒクつく腸内に思い切り射精をした。
まことを押しつぶし、腰を叩きつけてできるだけ奥に種付けをする。
激しい快感と興奮で白く塗りつぶされた視界の中、うっすらと見えるまことの表情は、すべてがだらしなく蕩けていて下品にも見える程性感に耽りきったものだったが、慶次はそんなまことが愛おしくてたまらない、とばかりにヒクヒクと痙攣しながら唾液を零す口元に何度も唇を落とす。

「はぁ、は、はぁ・・・まこ・・・」
「ぁあ・・・ひぃ・・・」

注ぎ切り、萎えた一物を抜くと、じんわりと気怠く心地よい快感の余韻に引きずられて瞼を閉じてしまいそうになる。
それをなんとか耐え、自分と未だ動けぬまことの身体を清めていく。

「ぅ、ン・・・慶次さん・・・ありがと、ございまふ・・・」
「ふ、眠いんだろ?ほら寝ちまえよ・・・ああ、今日はこっち、かわいがってやれなかったな」

ぐずぐずの下半身をぬぐってやりながら、プッツンと自己主張をしている乳首にも唇を落としていると頭の上から鳴き声を通り越した泣き声が聞こえてきたのに慌てて平身低頭して謝罪をする。
未だ、乳首への劣等感は強いらしくなかなか思うように愛させてもらえない。
しかしこちらも少しずつ、無理をせず、心の塊を解してやればいい。

慶次の謝罪は、いつの間にか睦言となり、また二人くっつきあって就寝するのが日々の日課であった。
なんとも言えぬ程満ち足りた日々。

『この日々を、まことを、何からも守り通そう』

慶次は毎晩そう、眠りに落ちる前に自分自身に誓いを立てていた。

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