森物語:冬椿6


「じゃあ、俺様が『コヅクリ』の方法教えてあげる」
「・・・でも、春になったら慶次さんが教えてくれるって、約束を」
「へぇー、俺様がせっかく教えてあげるっていうのにそーんなツレナイ事言うの?・・・そんなかわいくない事言ってると、その『春』が迎えられなくなっちゃうかも、だぜ?」
「っ、ぅ、」

自分の下で再びぷるぷると震えはじめたまことに、これは面白い事になってきたぞ、と狐は獰猛な笑顔を浮かべたまま舌なめずりをする。
本命の猿の旦那の前で、この子をたんまりと自分好みに調教してやろう。
春、目が覚めて、他人の男の色に染まった恋人を見たら、この旦那はどんな気持ちになるのだろうか。
寝ている自分の隣で、目の前で、冬中ずっとこの子リスが別の男に蹂躙されていた事を知ったら、どれだけ憤るのだろうか。後悔するのだろうか。
その想像をするだけで狐の背筋にはぞくぞくとしたものが走り、下腹部が熱く滾る。

「まこちゃん、俺様ね『狐さん』じゃなくて佐助って言うんだ」
「・・・さ、すけ、さん・・・」
「そうそう。これからいーっぱい甘い声で呼んでもらうのにさ『狐さん』じゃ雰囲気でないでしょ?」
「甘い声?あまい・・・甘い・・・匂い・・・?・・・狐・・・さ、佐助さん、それ、それなんですか?甘い、あまい匂いが・・・」

まことに伸し掛かったままの佐助は、腰の袋から掴み出した粉に唾を混ぜ、にちゅにちゅと粘つく音を立てて捏ねている。
それからはまことが嗅いだ事のない、甘い匂いが漂いつい鼻をひくつかせ、捏ねられる音に耳を向けてしまう。

「ン?コレ?あは、・・・これはねぇ、こうしてよーーっく混ぜて、ほら、トロトロになってきたろ?これを擦り込むんだ」
「・・・すりこむ・・・?」
「そう。塗っただけでも熱くなるんだけどね、ヒダとヒダのあいだによぉく擦り込んでやると、・・・熱くて、痒くて、気持ちヨクて、止まんなくなっちゃうんだって」
「・・・?そう、なんですか、・・・わっ!」

甘い粉を練りながら佐助が何やら熱っぽい目で見つめてくるが、佐助の言葉の意味も、今の自分の状況も『まだ』理解できていないまことは、ただ不思議そうに小首を傾げるだけだ。
佐助はそんなまことをフ、と小さく鼻で笑い、うつぶせにひっくり返すと上半身を慶次に凭れさせ、尻を突きださせる。
「や、なに、」ともがくまことの頭を慶次の腋に突っ込み、首に太い腕を絡ませると幾分か大人しくなった。

「いい子だねまこちゃん・・・あはは、尻尾ぷりぷりしないの───まこちゃん、俺様の名前は『佐助』だからね『けいじさん』ばっかり呼んだら悲しくなっちゃうから、ちゃぁんと覚えておいてね?」

慶次の匂いを嗅ぎながら、何を今更言うのだろうかこの狐──佐助さんは、とのんきに思っていたまことだが、尻たぶを割り開かれ、そこに何か滑ったモノが押し当てられ、ずぷっと尻穴に潜り込んできた瞬間、その丸い瞳の瞳孔がキュウゥと小さく絞られ、揺れていた尻尾が一直線に伸び、ぶわりと毛を逆立てさせた。

「───────ッ?!──ッ?!アッ、ア゙ッ、ヒイッ、」
「っく、その反応っ!まこちゃんさいっこー!」

熱い、お尻が熱い、中に何か入っていて、それがぐねぐねと動いているが、もっといっぱい動かして欲しい、お尻の中を掻いて欲しい、奥も、痒くなってきた、いや、お尻だけではなく前も、おちんちんも熱い、あつくて、あつくて、とっても、あつくて───・・・

声にならない叫び声を上げ、触れてもいないまことのペニスから、びゅる、と勢いよく精液が噴きあがった。
しかし射精をしてもまことのペニスは萎えることなく、尻だけではなく全身を揺らし、初めて感じる激しい快楽の波に呑みこまれていく。



外では再び雪が降り始め、風も強くなり、吹雪になるようだった。
しかしそれに気が付かない程まことは身体が、頭が熱くなり、全身から汗を噴き出しては出したことのない甘い声をあげ、その声で佐助に教えられた卑猥な言葉を何度も叫ぶ。

まことに揺すられ慶次の髪から真っ赤な椿の花首がポタリと落ちるが、もちろんそれにも気が付かない。
すぐにそこにどちらのものか白い粘液が噴きかかり、あっという間に椿は白く汚れ、溺れていくのだった。
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