森物語:冬椿5


服を剥かれ裸にされたまことは、尻尾を膨らませ、耳を垂らし、涙を浮かべて震えていた。
狐はそんなまことを瞳を細めて見つめ、またぶるりとまこととは違う種類の震えを体に走らせる。

「・・・その顔たまんないね、まこちゃん。こーんなに雄心を刺激しちゃって・・・」

そうして狐は何かとても熱く固い物をまことの腿に押し当て、裸の胸に舌を伸ばす。
あの鋭い牙を突き立てられるのだ、と覚悟を決めたまことはキュッと息を飲み「けいじさん・・・」と小さくつぶやき眼尻から涙をこぼすが、狐はいつまでも胸元を舌で舐めまわすだけで歯を立ててこない。

「ン・・・まこちゃん、なんで冬だっていうのにこんなにぷにぷにしちゃってんのさ・・・尻も、こんなにやわっこい・・・」
「ヒッ、ヤ、ヤッ、」

むっちりとした尻肉を狐の固い手に揉みしだかれ、未だへこんだままの胸丘の登頂を舌がくじる。
しかしまことは自分の横で眠る慶次の手を握り締め、身体を強張らせたままぼろぼろと涙をこぼすだけだ。
一向に熱を持つ兆しを見せない、小水の雫を付けたまま縮こまって震えるペニスを狐は横目でちらりと確認し「操立て?健気だねぇ・・・」とハン、と鼻で笑う。
そして胸元を舐めていた舌がツウ、と胸骨を辿り柔らかな腹に到達し、まことはいよいよ食べられてしまう覚悟をした。
彼らは腹から獲物を食べる事が多いと聞く。この狐もそこから食べるのだろうか。

まことの腹は白く柔らかなとっぷりとした肉がついていて、狐はその腹に小さく感嘆の声を漏らすと舐めるだけではなく何度も吸い付いて赤い痕を残し、またヘソの穴に舌を入れて遊ぶのを繰り返している。
固い歯が肉にあたる度、ヒィ、ヒィ、と声をあげ、ピン、とつま先まで緊張させてカタカタと身体を震わせていたまことだが、両手で握った慶次の手に気付くとあっと声を上げ目を開けた。

「あっ、・・・き、きつね、さん、」
「・・・ン?なぁに、まこちゃん」

まことにのしかかった狐は、ふさふさのオレンジ色の尻尾をゆっくりと揺らしながら顔を上げ、赤く薄い舌で唇についた唾液を舐め取る。
それにまことはつい目を奪われてしまったが、クッと内股を強く押す狐の指先に我に返ると、慶次の手をぎゅうぎゅうと握り締めて口を開く。

「し、し、しっぽ、僕の、しっぽは、の、残してください・・・」
「は?」
「け、けいじさん、僕がいないと、きっと風邪ひいちゃうから・・・、僕の、尻尾、たべないで、慶次さんのおふとんに・・・の、残してあげたいんです・・・」

まことの上でぽかん、と口を開いた狐は、またぷるぷると小さく震えると大きく息を吸い込みそれを噴き出した。

「ブッ、──ッ!ック、アハ、は、ほんっと子リスちゃんってば健気だねぇ」

春の温かい日差しで目覚めた時、このかわいらしい子リスの尻尾だけしか隣になかったら、この猿の旦那はどれだけ驚愕し、どれだけ悲嘆にくれるのだろうと想像して狐は笑いが止まらない。

「大丈夫、ダイジョーブ、俺様まこちゃんの事『おいしくいただいちゃう』けれどもイタイ事はしないし、ちゃあんと五体満足で春になったら猿の旦那に返してあげる」

だから緊張しないでさぁ、と狐はにこにこ笑いながらまことの涙と鼻水まみれの顔を手で拭い、冷たく強張った身体を優しく撫でる。
その言葉を信用したわけではなかったが、機嫌が良くなった狐の態度と、急所の腹を責められていた恐怖から解かれたまことはいつぶりかにホッと息を付き、肩から力を抜く。

「か、かえしてくれるの?狐さん、僕の事、食べないんですか?」
「そうそう。むしゃむしゃーっては食べないから安心しなって、ほら、足も開いて。・・・・・・まこちゃんだって一人で寂しかっただろ?」
「んん、ずっと、ずっと慶次さんがいたから・・・」
「猿の旦那は寝っぱなしじゃないの。こんなむっちむちなエロい身体して。満足できないでしょ?・・・って、ココ固い・・・」

まことの足の間に体を置き、柔らかくほどけた身体を撫でていた狐は、どこよりも柔らかな尻たぶを揉み、その狭間の穴に指をさしこもうとして、そこが固く閉じられているのに弧を描いていた目を見開いた。

「ひゃ、くすぐった、・・・っ、そこ、さっきおしっこ、お漏らしして、」
「あれ?まこちゃんココ使ってないの?」

体格差がありすぎるから無理だったのか、とちらりと隣でいびきをかく慶次の体格とまことを見比べて、狐はもう一度指の腹で尻の狭間を撫でるとまことの白い腿がビクリと跳ね、キュウと狐の体を強く挟む。

「つ、つかうって、・・・使うって・・・?」
「子作り、そこの旦那としてないの?」

自分を挟むまことの足を撫でながら、小さくて固い穴が完全に閉じているのを確認すると、狐は自分の腰につけた小袋に手を入れて中の粉を掴み取る。

「コヅクリ・・・?コヅクリ・・・あっ、慶次さんが、慶次さんが春になったらコヅクリしようって・・・」
「春になったらって・・・アレ?・・・そしたらもしかして、まこちゃんってまだ未通子なの?なら、なんでこんな時期に外に・・・」
「外・・・・・・椿が、欲しくて・・・、慶次さんに、飾ってあげたくて・・・」

狐は、そういえば自分がこの子リスを見つけたのはあの椿が咲いていた木の下だった事を思い出した。
頭に雪を積もらせて、真っ赤に上気させた頬を幸せそうに緩ませていた顔。
甘い匂いを纏わせた肉付きの良い身体。
陽の光を反射して、心地よく、温かそうな大きな尻尾。
なんて極上の獲物を見つけたのかと舞いあがった。
リスは性欲が強いと聞いた事があるし、この冬の短い目覚めの間、お互いめいいっぱい楽しめるかと思ったのだが、おぼこで更にこの猿に大惚れしているときた。
狐はちらりと慶次の頭に飾られた椿を見つめ、グゥガァいびきをかくその寝顔を見つめ、自分の下で潤ませた瞳を瞬かせているまことを見下ろし、少しだけ何かを考えるそぶりを見せたが、すぐにニンマリと満面の笑みを浮かべた。
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