夜明け前7


男の子のまことも、女の子だった時と変わらずにエロくて、かわいくて、健気で、そして「まこと」だった。
例えばキスをする時、少しだけ眉間がキュっと寄り、でも眉尻はトロンと下がるという器用な表情をする所だったり、大きな目を潤ませた怯えた顔が、他の誰にも感じた事のない嗜虐心を刺激して、一瞬、物凄く酷い妄想に駆られて自己嫌悪をさせられる所だとか、手の甲を抓る力とか、シーツの中からこちらを見上げる視線の動きとか、本当に些細な事で強く「まこと」を感じたのだ。
大きく勃起しているけれども男になった今は感じるのだろうか・・・、と女の子だった時と変わらないいじり方で乳首を愛撫した時なんて、いつも以上に大きくはしたない声を上げ、慶次は慌ててまことの唇を手で塞いでしまった。
そうするとまことはシーツの中から慶次の腹の奥に眠る凶暴なモノを揺り起こす、あの怯えた瞳でこちらをジィ、と見つめてくる。
小さく震える身体に塞がれた口、怯えた視線。
まるで自分がレイプしているみたいな錯覚に慶次は嫌悪よりも目も眩むほどの興奮を覚え、ついついいつもよりもまことをかわいがるのが激しくなってしまった気がする。

「ン・・・」

自分の腕枕で眠っているまことの目元は沢山泣かせたせいで真っ赤に腫れてしまっている。

───まことの尻穴は女性器よりも柔らかかった。
ぐぷぐぷと指を飲みこみ、それを味わうようにしゃぶりこもうと蠕動する腸壁に、慶次はゾクゾクとした興奮と、誰がこの子の身体をこんなにも慣れさせたのか、と腹の中がひっくりかえるような嫉妬を覚えた。

『・・・なぁ、なぁ、まこ。まこって前の学校で男の子だった時イイヒトいた?ここ、すっげー柔らけぇ・・・。・・・毎日いじってもらってた?どんな風に?こんな風?教えてよ。俺がそいつのした事全部忘れさせてやるから・・・』

顔を真っ赤にして首を横に振るだけのまことを組み伏せて、尻穴を指でほじりながらペニスの根本を掴み、舌先で皮が剥けた亀頭を舐めまわした。
イヤ、イヤ!ヤメテ、と身を捩る身体を押さえつけ、しばらくいじめてやれば、まことは「イナイ!いないのっ!まこ、まこ、おなにぃしてたのっ!まこ、まこがじぶんで、じぶんでしてたのっ!まこ、オナニーしてましたぁ!」とぐちゃぐちゃの泣き顔で告白をしてきた。
それに満足し、慌てて謝りながらペニスから指を離した時のまことの声とイキ顔は、もうしばらくオカズには困らないだろう、という程にスケベだった。

「まこー・・・。まこ。ごめんな?いっぱいいじめちゃったな?」

乳首も未だ真っ赤に勃起しているが、おさまった嗜虐心のせいかそれはどこか痛々しさを感じさせるものだった。
赤い目元と、汗とシャンプーの混じった匂いのする頭頂部にキスをして、慶次は腕の中の小さな身体を抱き直すと、横寝になり、なくなった乳房のかわりに薄い腹に手を置いてふぅ、と小さく息を吐く。

次、目が覚めたらこの腕の中のまことは女の子になっているのだろうか。男の子のままなのだろうか。

想像して、どちらでも同じくらいわくわくする、と慶次は頬を緩める。
カーテンの隙間から差し込む日の光は随分と濃く明るくなっている。
いつもならもうそろそろ起きる時間だが、腕の中の暖かな体温と重みに、慶次の瞼はとろりとろりとまどろんでいく。





「「どっち?ねぇ、慶次さん、どっち?」」

慶次は急に響いた声にデジャビュを感じ、ふ、と腕の中を見下ろした。
まただ。また、まことが二人いる。
さっき見た夢と同じ内容だ、と分かれ道を別々に走り去っていった二人の後姿を思い出す。
慶次はきょとん、と一度大きく目を開き、二人の顔を交互に見て、にんまりと破顔する。

「慶次さん?」
「慶次さん?」

その顔を見て、二人のまことは不思議そうに対称に小首を傾げ、こてり、と互いに顔を見合わせる。
その姿のなんと可愛い事か。

「くぅ・・・!・・・へっへっへ・・・まこ、まこ、へへへ、どっちもだぜ!まこ、俺は男でも女でも、どっちのまこだって好きだからな!っていうかどっちのまこも、俺のまこなんだかんな!他の男になんか誰がやるかってんだ!独り占め上等!」

あの時、自分の腕の中から逃げてしまった身体を両腕にぎゅう、と抱きかかえる。
女の子のまことも、男の子のまことも同じくらいにかわいくて、同じくらいに愛しい。
どちらのまことからも暖かく、柔らかな優しい匂いがして、慶次はやっぱり鼻の下が伸びてしまうのを止められない。

「・・・慶次さんのへんたい・・・」
「・・・慶次さんのえっち・・・」

前の時と同じ暴言を吐かれ『しまった』と思ったが、しかし腕の中の二人は恥ずかしげに頬を染めているだけで、逃げる事なく逆に慶次の胸に擦り寄ってくる。

「「でも、でも・・・。僕も、そんな慶次さんが大好きです・・・」」

そして二人のまことはクン、と身を伸ばすと慶次の頬に、右から、左からちゅ、とキスをして、ますます慶次を脂下がらせるのだった。
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