夜明け前5


そのまことのペニスから慶次は視線が外せなかった。
男のモノだ。ペニス。自分にもついている性器で、他人のだって風呂場で今まで何本も見てきたモノだ。
そんな同性の性器であるにも関わらず、まことのペニスは慶次の劣情を激しく刺激した。
チラ、とまことの顔を見上げ、それがまだ赤らんでいるものの幸せそうな寝顔なのを確かめると慶次はそっと粘んだパンティに手を伸ばす。

「まこ・・・まこ、起きねぇと悪さしちまうぞ・・・」

ツウゥ、とパンティが貼り付いた亀頭を指先で撫でると、頭上からまことのいつもより少しだけ低い、甘い溜息が漏れ聞こえたのに慶次は身を震わせる。
この声もいい。自分の好みだ。男の子のまこに似合ってる。
パンティから指を離すと名残りを惜しむように淫液が糸を引き、まことはむずがるように鼻を鳴らして腰を揺する。
もっとその声が聞きたい。その少年の声で自分の名を呼んで欲しい。

「まこ、・・・まこ、起きなって・・・まこ・・・起きないと、食べちまうぜ・・・?」

ハァ、と吐いた溜息は粘ついた熱気を含んでいた。
体勢を変える自分の体もペニスを固くさせはじめているのに、なんだか嬉しいような気持ちが湧いてくる。
やっぱり自分はまことが女でも男でも関係なく恋している。勃起した己のペニスはその証明だ。
それにまこと以外の男だったら、いくらかわいらしくてもこんな気分になんて───同じ男のモノを舐めしゃぶりたいだなんて思わないだろう。

「まこ、まこ、ほら・・・」

「食われちまう・・・」と囁いた声は掠れていて吐息のようだった。
ぱくりと開いた大きな口の端からトロリとした唾液が溢れ零れるが、それにかまわず慶次はパンティごとまことのペニスを食んだ。
ぬとつく布越しに熱く、固くなっている幹を唇に挟むと、まことの肉に浮く血管や筋の触感がダイレクトに感じられる。
ペニスに触れられたまことは甘い声でひと泣きすると、途端に腰をカクカクと揺すり、悶え始める。
鼻孔に突き入る濃い精臭と、まことの雄の動物のような淫猥な姿に、慶次は増々鼻息を荒げ、パンティをずらして勃起したペニスに直接むしゃぶりつく。
嫌悪感など微塵も感じなかった。

「ふぅ、は、ハッ、っ、まこ、まこっ、まこっ!」

視界がチカチカと白く瞬く程に興奮を感じている。
そんな視界の中のまことのペニスは皮が半分だけ剥けて桃色の肉を覗かせていた。
相変わらず薄い下毛が淫液──先走りでびしょびしょになっていた。
まことの小柄な体系に見合ったサイズのそこは、簡単に口に含む事ができる。
慶次は一口で口内にペニスを含み舌で包むと、先端に開いた尿道からすべてを吸いだす勢いで、じゅうう、と思い切り吸い上げる。

「いっ、ぎぃいッ!アッ!ア゙ッ?!」

柔らかいまことの腿がビクリと緊張し、慶次の頭を挟み込む。
漏れた声は喘ぎというよりも悲鳴に近かった。
それでも慶次は構わずにまことのペニスを吸い、頭を振ると激しく唇で扱きあげる。
撫でまわしていた腰や尻たぶがビクビクと幾度も痙攣し、舌にのったペニスが震え、ひっきりなしに先走りが溢れてくる。
熱い肉塊が口内で溶けていくようだった。

「ァ、らに、ら、んでぇ・・・ッ?!えっ、な、なんれ、ひ、ぃ、ッ、」

まことの鼻声と慶次の荒い息の音だけが響いていた夜明け前の薄明るい闇の中に、目が覚めたらしいはっきりとしたまことの声が聞こえた。
しかし、自分の喉から出た低い声に驚き息を飲み、更に自分の下半身に顔を埋めている慶次を見て息を止める。
ペニスを咥えたまま視線を上げれば、視線が合ったまことの細い肩がビクリと怯えたように跳ね上がる。
瞼を開いた瞳は変わらず黒目がちで潤んでいた。
女の子だった時と同じ容姿だが、しかしやっぱりどこかが違う。
そしてその違いが愛おしい。

「け、っ、っ、ぅ、」

『慶次さん』と名前を呼ばれるかと思い胸をときめかせた慶次だが、まことは自分の声の低さに慌てて唇と喉を抑えイヤイヤと首を振った。
押さえ込まれている身体もそこから逃げようと幾度もよじって抵抗するが、逃すわけがない、とばかりに慶次は増々シーツに跳ねる身体を押し付ける。
すると何を考えているのか、小さく震えるまことの青ざめた顔の怯えきった瞳が涙をたんまりと乗せて震えながらジッと自分を見下ろしてくるのに、慶次はゾクリと胸の内側を煽られるような気分を味わった。
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