夜明け前4


『慶次さん、僕、男なんです、今は女の子の身体ですけど、男なんです』

初めて会った時か、2回目に会った時、まことは自分にそう告白してきた。
冗談かと思っていたけれどもそう語るまことの瞳は真剣だったし、まことが証拠だといって見せてきた戸籍謄本には確かに性別の欄に「男」と書いてあった。
その時慶次は漠然と『男だったまこと』を想像したのだが、それが自分と同じくらいの背丈で顔だけまことというムキムキの男が、下着一枚でサイドチェストをしているなんとも不気味な姿だった。
慶次の中の『男』のイメージとはそういうものだったのだ。
今まで慶次の周囲には己も含めて体つきのいい男友達ばかりだった。
実家にいる叔父は基本的に半裸でいつも筋肉質な体を見せびらかしていたし、秀吉も、元親も、家康も、友達はみんな恵まれた体格をしていた。
細身の元就や三成だってその実しっかりとした筋肉がついていた。
なので、片手で持ち上がってしまいそうなくらいにか細くて、自分の胸の辺りまでしか背丈がなくて、それでも胸は大きくて柔らかそうで、どこからどう見ても女の子なまことに「僕、男なんです!」と宣言されて、それを「そっかぁ!大変だなぁ!なんでも俺に相談してくれよ!」と本心から同情して力になってやりたいと思ったが『まこが男・・・まこの男だった姿?・・・?・・・??』と頭ではうまく処理ができていなかった。

でも、それでも、気が付くと慶次はまことに惹かれてしまっていた。
最初の出会いが一目惚れに近かったし、自分好みのかわいらしい容姿をしているし、更に話せば話すほど柔らかいまことの雰囲気と優しくて健気な性格に完璧に惚れこんでしまった。
元が男だろうが関係ない。
もしもまことが男に戻ったとして、ゴツくても、ハゲてても、ヒゲが濃ゆくても、胸毛がぼうぼうとあったとしても、この雰囲気を持ってくれているのなら多分、絶対惹かれたままでいられると思ったし、それにいつ来るかも知れない『もしも男に戻ったら』の事を心配して今こんなにも愛おしいと思うまことを手放したくなかった。

まことと付き合うにあたり、そんな色々な想像をして色々な覚悟を決めていた慶次だったが、眼下のまことの姿はその想像の範疇を果てしなく超えていた。

「マ、マジかよ・・・こんな・・・こんな、かわいいとか・・・」

女の子の時と大差ない体格も、寝顔のかわいらしさも、柔らかい感触の身体も想像なんてしていなかった。
睫毛の長さだって以前と変わりがないし、柔らかそうな唇も、ヒゲどころか淡く産毛が光っている頬っぺたも桃色で、まろやかだ。

「んでもって・・・エロいとか・・・反則だって・・・まこ・・・」

囁きは、熱く、少し荒くなった吐息とともに吐き出された。
自分の下で、未だヒクン、ヒクン、と震えているまことの身体は、男の身体だと解った後でも己の下腹部を疼かせた。
むしろ、男の身体だと理解してからの方が欲情を煽られているかもしれない。
男の子なのに薄く肉付いた柔らかい胸に大きな乳首を育て、かわいらしいパンティからはカチカチに勃起したペニスをはみ出させている。
ペニス。まことのペニスだ。

「・・・まこも・・・ちゃ、ちゃんと男なんだ、な・・・」

掠れた声がどうしてもどもってしまう。
幾度も唾を飲みこんで、慶次はまことを起こさないようにそっと体の位置を変えるとじっくりとその身体を見分し始める。
だぶついた自分のパジャマから覗くまことの足は、やっぱり女の子だった時と変わらず筋肉がなく、毛も薄かった。
そして足の付け根にいくにつれ、むっちりとした肉が付いているのも変わりなかった。
その内股がうっすらと濡れて薄暗い室内の明かりを反射している。
先走りを漏らしているペニスは小さなパンティを押し上げて固く勃起し、クリーム色のつるつるした生地に真っ赤な亀頭を透けさせていた。
女の子の時も濡れやすいと思っていたが、男になってもそれは変わらないようだ。
乳首をいじられていただけなのに、まことのペニスはパンティをびっしょりと濡らし、内腿にまで先走りを漏らしてしまっている。
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