屋上にて3


「ぁ、け、慶次さ、だめ、そこ、そこダメなの・・・ここ、ここ屋上なのに・・・」
「ン、だってまこがかわいいから・・・ほら、こっち向いて、」
「だ・・・めぇ・・・、ン、プ、っふあっ!ひ、あ、あ、あ、」

ちゅ、ちゅ、と響いていた音がいつになっても途切れることがなく、ちゅぶ、ぬぶ、と粘ついた濃い音に変わってきたのに気が付いた政宗達は、完璧に自分達は出て行くタイミングを失って、このまま黙ってここで下の二人の濡れ場に立ち会わなければならないのだ、と少しの居心地の悪さに身体を緊張させた。
ずっと押し黙って下を覗きこんでいる幸村の顔は、真っ赤を通り越して赤黒くなってしまっている。

「まこ、まこのここ、すっげーやわらけ・・・ここ、今日もおっきくさせてやるから・・・」
「んあっ?!アッ、アッ、ヒ、そこ、そこっ!だめぇ・・・ッ!」

が、緊張していたのも僅かの間でまことの蕩けた嬌声が一際大きく響けば『ココってどこだよ?!ソコってなんだよ?!』と身を乗り出して下を覗く。
ヒクンヒクン、とだぶついたセーターの下の身体を痙攣させ、まことは慶次と向かい合わせに膝に座り、身悶えていた。
ココ、ソコとはどうやら乳房の事らしく、セーターの下に潜り込んでいるらしい慶次の手が、服越しでも分る程にねちっこい動きで胸を揉みしだいていた。

「けいじさ、けいじさ、ここで、こんな、アッ、んんんッ!」
「大丈夫、だいじょうぶ、二人っきりだから・・・まこ・・・」

慶次の言葉に政宗と佐助はなんとも言えない顔でにんまりと笑い、それぞれ小さく身を縮めて口元を押さえて呼吸を抑え、気配を殺してこの濡れ場を覗く体勢を取る。そして今にも下に落っこちてしまいそうな程頭を出していた幸村の体を引いて、鼻血が垂れ始めている鼻に呆れつつもティッシュを突っ込んでやった。
幸村の視界からは完璧に慶次の姿は消え、だめ、だめなの、でも、すき、だいすき、とふにゃふにゃ蕩けたまことが縋り付いているのは自分の姿になっていた。
たわわな乳房を揉みしだき、甘そうな唇に吸い付く自分の幻影に、幸村は目が回り、頭に血がのぼり、失神寸前だった。

「まこ・・・あの、さ、一昨日した約束・・・覚えてる?『アレ』してくれるって・・・」
「んっ、んう・・・『アレ』・・・ん、おぼえて、ます・・・」
「そ、それじゃさ、今してって言ったら・・・ヤダ?」
「・・・いま・・・?」
「うん、うん!ちゃんと約束通り目隠しするから!」
「・・・・・・・・・ん・・・」
「・・・マジで?!」
「んぅ・・・でも、でもね?けいじさん・・・めかくし、ちゃんとしてね?まこ、まこ、はずかしいから・・・」
「するする!するからまこは全然恥ずかしくないっ!あーっと、えーっと・・・これっ!これでいいかい?弁当包んでたナプキン!」

忙しなく聞こえていた衣擦れの音が消え、ひそひそと響く会話の突飛な流れに意識が飛んでいる幸村以外の二人は一体何が始まるのか、『アレ』とは何だ、『目隠し』とはどういうプレイだ、と胸をときめかせる。
慶次の膝から降りたまことは大きなセーターに包まれた自分の身体をぎゅう、と抱きしめ、熱の篭った瞳で慶次を見上げながら小さくぷるぷると震えていた。
その様子に三人はそれぞれ庇護欲と嗜虐心と劣情を激しく刺激され、こちらも同じようにぷるぷると小さく身悶える。

慶次は目元に弁当を包んでいた大き目のナプキンをギュッと巻きつけ、まことの位置と少しずれた空間に「ほら!目隠し!な〜んにも見えてないぜ!」と笑いかけた。

「ほ、ほんとう?みえない?けいじさん、まこのこと、見えてない?」

そんな慶次を下から覗き込み、小首を傾げて伺うまことに慶次は明後日の方を向きながらうんうん!と大きく首を頷かせる。

「見えない見えない!」
「ふふ、けいじさん、みえないの、ふふふ」
「ぜーんぜん見えないから・・・まこ、まこ、どこにいんの?ほら、手ぇ貸して?」
「ん・・・」

まことの声は政宗達が普段聞く事のないどこか舌足らずで、甘えた響きのあるものだった。
何もない空間に伸ばされた慶次の手を両手で掴み、まことはそれにうっとりと頬ずりをする。
慶次はその頬を柔く揉みながら、伸ばした親指で熱い吐息が漏れるまことの唇を捏ねて愛撫する。

「ん、む、けいじふぁ、んぁ・・・」
「まこ・・・『アレ』やってくれよ・・・ほら、俺の、もう、こんなだ・・・」
「ん・・・─────ッ!」

まことの手を握り返し、その手を慶次は自分の股間に導いた。
その瞬間のまことの表情は、なんと言っていいものか。

「ぁ、ぁ、あ、あっ、けいじさ、おちんち、おちんちんが、」
「っふ、・・・まこのエロい顔見て、胸触ってるだけでこんなになっちまった・・・まこ、早く・・・」

慶次のペニスに手を触れた瞬間、まことの身体がビクビク、と戦慄いた。
蕩けていた瞳の中の瞳孔がきゅう、と縮まり笑みを描いていた唇がわなわなと締まりなく震えて一筋の唾液を零す。
慶次はそんなまことの変化に気付いているのかいないのか、勃起したペニスに触れたまま硬直しているまことの小さな柔らかい手に、ぐいぐいと腰を押し付け、熱いため息を吐いている。

「まこ・・・まこ、ちっさい手・・・かわいい・・・まこ・・・」
「ぁ、ぁ、ぁ、ん、ひ、ひ、けじしゃ、みてる?みえる?まこのこと、んぅ、み、みえる?」
「っふ、はは、みえない、なぁんにも、見えないって」
「ほんと、ほんとに?・・・け、けいじしゃ、みえてない・・・?」

目隠しをされた慶次の顔と、自分の手が触れている慶次の股間を交互に見て、まことはわなわなと震わせていた唇に再び笑みを浮かべた。
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