東館二階南男子トイレにて3


──どうにか、あの二人に捕まることは免れたようだ。

まことはもう遠くにも聞こえなくなった二人の声に耳をすませようとして、自分の吐息が酷く荒いのに気が付いた。
はふ、はふ、と上がった吐息が唇を覆う幸村の手にかかり、顔が蒸れて汗をかく。
同じように、まことの耳元にかかる幸村の吐息も熱く、深いものだった。
ふう、ふう、とまことの耳の後ろ、シャンプーの匂いと体臭が混ざった匂いがする箇所で幾度も深呼吸をする。
甘いその匂いは幸村の頭の中を白くフラッシュさせ、瞳の奥をカッと熱く滾らせる。


佐助と政宗が遠く離れていったのを感じていたが、幸村はそれでも決してまことを離そうとせず、柔らかな身体を胸にしまい込もうとでもするように幾度もぎゅうぎゅうと抱き直す。
まことのうっすらと汗をかいたうなじに鼻先を潜らせ、濡れて熱い唾液を零す唇を擦り、どこまでも埋まる柔らかな肉のついた乳房を腕で捏ねるように押しつぶす。

「ン、フ、ハフ、フ、ンッ、」
「宝野殿、は、あ、う・・・宝野、殿・・・」

まことも酷く興奮していて、自分の乳房に回った幸村の腕を振りほどくことなく身を任せ、ジクジクと熱を孕んで疼く下腹部に内腿を擦り合わせ、身悶える。

『ゆきむらさんの、からだ、熱い、ぁ、くびに、くちびる、あたってる・・・、まこの首、ゆきむらさんにキスされて・・・ッ、ン、ヤ、からだ、熱くなる・・・っ!おっぱい、まこのおっぱい、ちくび、でちゃう、おっぱい、でちゃうぅ・・・!』

しかし幸村さんは女の子が苦手だというのに、女の子になってしまったこの身体とこんなに密着して大丈夫なのだろうか。
たどたどしく動く指先は、まことが少しでも嫌がるそぶりをみせたら離れていってしまうのだろう。
自分だって、女の子なのに男の子の幸村さんとこんなに密着してしまって、片倉先生に怒られないのだろうか。
でも自分は女の子なのだから、男の子の幸村さんとこうしていて自然なのだ。女の子なのだから、こうして男の子と身体を合わせて、幸村さんの大きいおちんちんを、まこの、ここに・・・、

幸村のペニスに身体を貫かれる妄想を膨らませたまことが、思わずグ、と疼く尻を持ち上げ後ろの幸村の体に押し当てると、柔らかな尻たぶに何か固く、熱いものがめりこんだ。
ビクリと自分を抱いている体が跳ね、動きを止める。

『お、おちんちんっ!ゆきむらさんのおちんちんっ!あつくて、あつくてかたいの、ゆきむらさんのおちんちん、まこの、おしりにあたって、ぁ、あ、あ、───、』

瞬間、ぶつん、とまことの中で何かが切れた音がした。



まことの想像通り、幸村はまことがふるりと小さく身を捩っただけで肩を揺らすと我に返ってしまった。
あれほどきつく抱きしめていた腕を慌てて万歳して解き、まことから体を離すとべったりと壁に張り付いてわなわなと震え始める。

「も、も、も、も、申し訳ござらんっ!こ、こんな、は、破廉恥な行為を、宝野殿に無理やり・・・!宝野殿っ!某、如何なる責任をもとらせて、ぐ、ぶっ?!」

興奮冷めやらぬ涙目で叫んだ幸村の謝罪は、中途半端な所で遮られた。
何か柔らかく、暖かいものが体に、唇に押し当っている。
見開いた瞳に、蕩けた顔のまことが映った。

「ン・・・幸村さん、助けてくれて、ありがとう・・・だからね、あのね、・・・お礼に、まこがおんなのこの事、教えてあげる・・・」

柔らかい、と思っていたのはまことの乳房で、大きなそれが自分の腹に押しあたり、むにゅりと形を変えてシャツの襟元から肉をはみ出させている。
絶叫をする為にひゅう、と息を呑んだ唇が再び濡れた唇に奪われ、まことは瞳を白黒させている幸村を満足げに見つめると、そのまま幸村の長い後毛を引き、壁に張り付いた体をぐいぐいとトイレの個室に押しやっていく。

「宝野殿、宝野、どの、どこへ・・・っ、なにを言って・・・、な、何を、教えると、」

真っ赤な顔をして震える幸村を便座に座らせるとまことは、後ろ手にドアを閉めると薄暗くなり密度が上がった個室ににんまりと笑みを浮かべる。
はぅ、と熱いため息を吐いて、幸村のヂリヂリと身体を這う視線を感じながら、ベルトを外し、とさり、とズボンを床に落とした。
- 36 -
[*前] | [次#]
ページ:

トップに戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -