Pets!7


そうして今に至る。


佐助、幸村、元親の三人は、黒いビキニパンツ一丁で両手には首輪と同じ黒皮の枷が嵌められ、そこから伸びる鎖を小太郎に引かれつつ松永の後ろを静々と歩いていた。

「・・・やっぱり・・・俺様は怪しいと思ってたんだよ・・・」
「・・・佐助・・・すまん・・・」
「・・・チッ」

コソコソ、と呟く口元はどれも真っ赤に腫れあがっている。
三人相手でもこちらの風魔に敵わなかった。
というか、あの妙に粘着力のある茶色い紙が脅威だ。まだ唇がべたべたする、と佐助は舌を伸ばして腫れた唇を確認しながら先程の松永の言葉を思い出していた。

「卿達にはこちらにいる間、甥の遊び相手をしてもらいのだよ。首輪?甥の好みでね。いや、良く似合っている。ああ、もちろんその格好も甥の好みだ。なぁに、優しいいい子だよ。何も心配する事はない。が、抵抗したら・・・」

全身をぐるぐると粘着紙で拘束され、首輪を嵌められて屈辱に震える自分達を見下ろしながらそんな事を告げた松永。
抵抗したらナンなのさ、と文句を言おうものなら、その隣に立つ風魔がまたビッとあの紙を伸ばし、威嚇する。

『どんな変態なんだよその甥っ子は・・・!』

心配することはないと言う松永の言葉はもう信じられない。
不服気に自分の前をのしのしと歩きながら、どこの松永も性根は同じで腐っていやがる、と唾棄した元親に、何さ、昨日は人が良さそうって言ってた癖に・・・と佐助は今度こそ呆れた視線を送ってやった。


不貞腐れた表情の三人が足を止めたのは、離れにある部屋、重厚な扉の前だった。
松永の甥という事、話に聞くと異常な性癖があるらしい事、スゥスゥする尻と肩が凝る首輪、それらからどうしようもない人物像を思い浮かべ、どんな変態野郎が出てくるのか、その変態野郎にどんな事を強いられるのか、どうやったらここから逃げ出せるのか、と一見沈んだ顔の裏で策を練っていた三人だったが、その扉から飛び出てきた少年に、思わずハッと息を飲んだ。

佐助も、幸村も、元親も、目の前に立つ少年から目が離せなかった。

想像を裏切る、なんともたおやかな少年だった。
薄暗い廊下に陽が射したような気さえする。
まろやかな頬を桃色に染め、黒目がちな瞳を潤ませて松永を見上げ、けぶる睫毛を震わせると小さな唇から甘い吐息をとろりと零す。
同時に漏れた「おじさま」という声は、上品で優しい音をしていた。
すぐ傍にいる自分達などに気付きもせず、ただただ一心に松永を見つめ、細い腰を撫でる手に翻弄される少年に、佐助は知らず唇を一つ舐め、元親はゴクリと喉を鳴らし、幸村はポカンと口を大きく開いた。
少女には見えないまるっきり同性であると言うのに、その姿には匂い立つような色気があった。

「・・・ッチ、男色か・・・」
「・・・こりゃ・・・また・・・って、旦那!旦那ちょっと待った!」

思わず目を奪われていた佐助だったが元親の舌打ちで我に返ると、自分の前に立っていた幸村からぶわりとした熱気を感じ慌てて距離を取ろうとする。
しかし、互いに繋がれた鎖は短く、耳を塞ごうにも手首はぎっちりと拘束されていた。
幸村の暴力的な怒鳴り声を間近で浴び、くわんくわんと揺れる頭を押さえながら、しかしそれでも佐助は目の前の少年、みつきから視線を離そうとはしなかった。
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