Pets!6


朝、夜が明けてから軽めの食事を貰い、画期的な風呂に案内された。
まるで温泉のような広さの風呂だったが、流石に主や他の国主と同じ湯に入るわけにもいかない。
自分はここまで色々案内してくれた風魔と待っていようと思ったのだが、有無を言わさず服を剥ぎ取られ、風呂場に放り込まれてしまった。
ぼしゃん、と背中から落ちた湯は、思わず胸の奥から唸り声が漏れてしまう程に心地良い。
色々懸念していたけれど、窓から差し込む暖かい日差しに満たされた腹、心地よい湯加減で、疑心暗鬼は大分薄れてきていた。
──どれも思い過ごしだったのかもしれない。
元の世界の松永の印象もあるわけだし、あの時垣間見た怪しげな笑みは何か企んでいる訳ではなく生来のものだったのかもしれない。
止め処なくお湯が放出される筒と、いい香りの柔らかな泡が立つ白い石に興奮する元親と幸村を佐助は呆れた瞳で見ていたが、とうとうその様子に橙色の前髪を掻き上げるとふ、と小さな苦笑を漏らした。

が、しかし。

風呂から上がると自分達の服がなくなっていた。
変わりに置かれていたのは小さな黒い布切れ一枚だけだ。
何コレ?と脱衣所の隅に立っている風魔に尋ねると、手ぬぐいで隠してある下半身を指差される。
大きな穴が一つ、小さな穴が二つ。
鬼の旦那が興味深げにひっくり返して、穴を広げ、そして風魔に「これ、穿くのか?」と問いかけるとコクリ、と小さく返答を寄越す。

「こっちの下着みたいなモンなのかな?風魔の旦那のあの格好からして、下に褌締めてるわけじゃなさそうだし」
「・・・しかし、随分と布地が足りないような・・・」
「あぁん?真田のだったら・・・大丈夫なんじゃねぇか?なーんてな!」

な、なななな何を?!と顔を赤くする旦那を宥めつつ、恥ずかしげもなく手ぬぐいを剥ぎ取り随分立派な物を小さな未来の下着に押し込み始めた鬼の旦那を見やる。

「あぁ?なんか尻に食い込んで気持ち悪りぃなぁ・・・」

これでいいのか?と風魔に向かって堂々と仁王立ちする鬼の旦那の格好は、海の日差しに焼けたガタイのいい体にしっくりとしているような気がする。
が、何が悲しくて男の肌を見なければいけないのか。
筋肉質な尻と、そこに食い込む黒い布地を見ないように顔を背けながら、自分もいつまでもぶらぶらとさせているのも心地悪くサッとその布に足を入れる。

「・・・これ、形までくっきり出るんだけど・・・。風魔の旦那、ここでは皆こんなの穿いてるワケ?俺様褌の方がいいなぁ・・・・・・うげ・・・旦那も、色々はみ出しちゃってるし・・・」

体を動かして下着の履き心地を試していた鬼の旦那がこちらを振り返りゲッと声を漏らす。
大きさは三枚とも同じような下着だったのだが、真田の旦那にはやや小さいらしく黒い布地から見たくもないモノが飛び出している。

「・・・デ、デケェ・・・」
「ちょ、長宗我部殿っ!見ないでくだされっ!・・・っく・・・!風魔殿、某も褌の方が・・・!」

しかし風魔は見苦しいそこをジッと見つめた後、フルフルと首を横に振った。
うぇえ・・・このままなのかよ・・・旦那、右か左に寄せるとか、どうにかして早くしまっちゃいなよ・・・と、流石に手伝ってやるわけにもいかないソコに、やきもきしながらなんのかんのと口を出していた為なのか。
素早い動きですぐ傍まで近寄ってきた風魔を避ける事で精一杯だった。

「うぉ?!何しやがるテメェ!」

カチャン、と小さな金音と共に隣に立っていた鬼の旦那の首元に黒い皮の首輪が回されていた。
何しやがる!ンだこりゃ?!と首輪を引っ張って留め具を外そうとする鬼の旦那の安全を確認しながら、髪に隠していたクナイを取り出し、首輪を握りこちらに構えを取っている風魔と対峙する。
情けない顔で股間をいじっていた旦那も、はみ出させながら格好のつかない構えを取りグッと風魔を睨め付ける。

「・・・やっぱり、何かあると思ってたよ。そんなもん嵌めて、どういうつもりさ」

じっと押し黙ったままの風魔は、ちらりとクナイを見ると首輪を背中に仕舞い、そうしてあの凶器を取り出した。
うげ、と思いながらそれを抜かせてなるものか、とクナイを翻すが、しかし目の前にいたはずの風魔は刃の軌道から忽然と消え、ただ、ビッ!ビッ!という音だけが耳に残った。
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