Pets!3


みつきは小さい頃から叔父の松永が大好きだった。
背の高い所も、優しい言葉遣いも、特徴的なお髭も、少しいじわるな所も全部好きだった。
本当に小さい頃は何も考えずにただ大好きな叔父と遊びたくて、その身体のどこかに触れたくて、一生懸命追いかけては必死に足にまとわりついていた。
ふにふにの桃色の頬がどこまで伸びるのかと引っ張られたり、笑いすぎてケポッと嘔吐するまでくすぐられたりしても、みつきはふにゃふにゃ泣きながら無体な事をしてくる叔父に引っ付いて離れない。
そんなみつきを松永も特別に可愛がり、父や母が苦笑いをする程二人の仲は良かった。

しかし物心ついた頃、みつきは急に叔父と目を合わせることが恥ずかしくなり、遊びたいのに近づけない、名前を呼ばれると嬉しいのにそっぽを向いてしまう、挙句に叔父が見ている前で他の人にべったりくっついて、楽しくないのにキャッキャと笑い声を上げてしまうという、自分でも訳の分からない行動をとるようになってしまった。
本当は何をするのもずっと一緒にいたいのも叔父だけなのに、一緒に出かけた公園で、叔父の手を離して知らない男の人にくっついて遊んでしまう。
自分の気持ちが行動が、ちっとも分からずにその頃のみつきはよくかんしゃくを起こし、父も母も友達も皆あきれ返ってしまっていた。
それでも叔父は、みつきをかわいがってくれようとした。
逃げるみつきを追いかける事はなかったが、いつも出会うと「やあみつき、元気かね?」としゃがんで視線を合わせて挨拶をしてくれる。
その頭に飛びつきたいのに、前の様に身体中をたくさん触ってくすぐって欲しいのに、みつきは自分を真っ直ぐに見つめる視線が恥ずかしくて、嬉しすぎて、何も言えずにその場から逃げ出してしまうのだった。

そんな二人の関係を変えたのは、ある春の日の事だった。
みつきはまた叔父の手を振り払い、最近よく会うようになった男の人と叔父に見せ付けるように仲良く公園で遊んでいた。
追いかけっこをして、かくれんぼをして、気がつくと自分を見守る叔父の視線が届かぬ薄暗い藪の中に男の人と二人っきりになっていた。

「みつきちゃんかわいいね、本当に男の子なのかな?お兄さんにおちんちん見せてごらん?」

今まで仲良く遊んでいた男が荒い息を吐き、服を脱がそうとみつきの細い腕を痛いほどに鷲掴む。

「・・・?みつきは男です。・・・っ?!おにいさん、いたい、・・・おにいさん、こわいです、いや、みつき、服脱ぎたくないの、いや、いやぁっ!おじさまっ!たすけ、ング」

叫ぶ小さな口を大きな汗ばんだ手で押さえつけられ、みつきの身体は簡単に自由を失った。
身体中を舐められ、色々な所に男の熱くて固くてねばねばした液を出す、自分の物とは違うペニスを擦り付けられる。
怖い、悔しい、気持ち悪い─。目の前が真っ赤になる程それは屈辱的で恐ろしかった。
びゅるびゅると全身に熱い何かをぶちまけられ「コレ、何かわかるかな?まだわからないよね?お兄さんがたくさん、色んな事、みつきちゃんに教えてあげるからね?次はお兄さんにみつきちゃんのちっちゃいお尻、見せてごらん?」とみつきの腿を掴み寄せようと口元から手を離し、やっとみつきは喉に篭っていた叫び声を上げることが出来た。
自分を探していた叔父はすぐに飛んで助けに来てくれ、男を成敗したその両腕に、今までのわだかまりが嘘のように素直に飛び込めた。

「おじさま、みつきはコレがなんだかわかりません。あの男の人はおちんちんについて、この白いのについて、みつきに何かを教えようとしていました。でも、嫌です。あの男の人だけではありません。おじさま以外の人は嫌です。みつきは全部、何もかもおじさまに教わりたい」

みつきは身体についた精液を拭い取られながら、気丈にも涙を零す事はなかった。
叔父とはあまり似ていない、はんなりとした容姿のみつきだったが、その心根は確かに松永の血を受け継いでいた。
それでも赤くなってしまった瞳を瞬かせ、師を乞うみつきに松永は小さくため息を吐く。
みつきにとっても、叔父にとっても、みつきが性的な行為を他人に強要されたという事は思いの他衝撃的で、今までの考えを改めるきっかけとなった。
松永はただ愛しい、可愛らしい、と思っていた幼い甥に対する親愛以上の何かを自分の中に見つけ、行き過ぎた近親愛、同性愛という禁忌にまったく抗わず素直に従う事にした。

「ああ、相分かった。・・・今回は流石に肝が冷えたな。みつき、私はお前を愛しているよ。だから私はお前の師となろう」
「・・・はい・・・はい!おじさま、みつきもおじさまが誰よりも好きです!」

そうして、勉強も、教養も、セックスも、すべて何もかもみつきは叔父から教わった。
あの叔父と目が合わせられなくなった感情の原因は恋だという事も知った。
長い年月をかけてみつきのその初恋は形を変え、恋とはまた違う感情へ移っていき、叔父の他に恋人も出来たこともあったが、叔父に対する愛はいくつになっても、なによりも、深く大切なものだった。
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