Pets!29


幸村は知らず口元をへの字に曲げ、みつきの尻に注挿される佐助のペニスを見つめる、というよりも睨め付けていた。

これ程までに余裕のない佐助を見るのは初めてで驚いた。
そしてそれを面白くないと思っている自分にも驚き、苦い嫌な気持ちになる。
佐助相手だというのに自分は何を考えているのか、とその沸々と煮える感情に蓋をして交わる二人を目に入れないようにと努めるが、しかし目をつぶっても固定された腕では耳まで塞げず縋るような甘いみつき殿の嬌声と、信じられぬ程に優しげな佐助の声が響く。

耳に聞こえるのは声だけではなかった。
粘ついた物を捏ねるような濡れた音、肌を肌で叩く音──。
それらの音は今日、初めて知った、知らされた音だ。

『修行が・・・修行が足りぬ・・・!』

声に、音に、煽られるようにジリジリと我慢できずに両の瞼が開いていくのを止める事ができない。
そうしてとうとう開かれた視界の中、佐助と睦みあう白い身体は先ほどまで自分の腕の中にあったものだった。
柔らかく、良い香りがし、暖かで心地よい身体。
長曾我部殿は、その身体の持ち主に明らかに犯されていた。
自分もはたから見たらそうだったのだろう。
しかし佐助はどうなのだ。
同じように手を拘束されていれど、口を合わせ舌を、身を絡ませる二人は幸村の目にはまるで恋仲の交合に見えた。
がっちりと佐助の腰を挟むように回されたみつきの足のせいなのか。
積極的に動く佐助の腰と、それを嬉しげに受け入れるみつきのくねる身体のせいなのか。

『面白くない』というどこからか幸村の中に沸いて出た感情は、次第にむかむかとした胸焼けになり臓腑をかき回す。
早く、早く二人が離れればいい。
そしてあの暖かい身体が自分の腕に戻りまた肌を合わせて──・・・。

二人を睨めながらも脳内のみつきに思いを馳せていた幸村の耳に一際高い嬌声が聞こえ、ハッと視線を戻せば、唇を合わせた二人がビクリビクリと身体を戦慄かせながら吐精を始めた所だった。
みつきの小さな尻の奥、真っ赤な肉が捲れた穴が、きゅうきゅうと幾度か収縮したと思うとその端から一筋、また一筋と白濁した体液が溢れ出して来る。
その光景に、脳がぐわんと揺さぶられ、カッと瞳が燃える様に熱くなる。

幸村がなによりも驚いた事は、そんな二人を見て腹を煮え立たせるのと同時に酷く興奮を覚えた事だった。
証拠に幸村の大きな一物は再び天を突くように固く勃起をし、亀頭はしっとりと濡れはじめている。
軽く上がった息を吐きながら、幸村はみつきの尻穴から垂れる精液にすぅ、と胸が軽くなるのを感じた。

佐助の精は漏れ出たが、己のものは腹の奥にまで入ってしまったと言っていた。
長曾我部殿のモノよりも、佐助のモノよりも、長く自分の精が彼の腹奥に染みこんでいる、と思うとそれだけで背筋にゾクリとしたものが走る。
早くまたあの小さな身体に己の精を注ぎ入れ、孕むまで擦り込みたい。

交合が終わっても、唇を吸い合い、身体を擦りあう二人にやきもきとしながら幸村も正座をした足をもじりもじりと揺らす。
どうにかして二人を引き離せないものか、とますます口元をへの字にして唸っていると、視界の端に何か動く影が見えた。
風魔だ、と思った時にはその影は睦みあう二人の背後に立っており、長い前髪に隠された表情も、もちろん微かにもうかがえない気配もどんな物を纏っているか分らなかったが、幸村は緊張し声を上げる。

「佐助っ!」

赤い飛沫が飛ぶのでは、と一瞬先の幻覚に捕らわれた幸村だったが、しかし小太郎は佐助の膝の上にいたみつきを担ぎ上げるとその場には用はないとばかりに再度跳躍し、三人と距離を置く。

「ヒ──?!ッ、こ、こたろ、」
「ック?!ァ・・・っは、」

しかし、しっかりと身体を繋げていた二人にとって小太郎の動きは予想外のもので、みつきは口元を押さえるとかぶりを振りながら幾度も痙攣し射精を始め、佐助も幾度か太腿の筋を強張らせていたがとうとう勢い良く空中に精を飛ばし始めた。

「は、ぁああ・・・・・・もーなんなのさ風魔の旦那ぁ・・・今すっごくイイ所だったんだけど・・・」

パタパタと床に落ちる精液にも、幸村の未だ睨めるような視線にも、小さく震えた佐助の恨みがましい声にも目を向けず、小太郎は腕の中の震えるみつきの前髪をかきあげてやり、涙や汗で濡れた肌をまたどこからか取り出した暖かい手ぬぐいで拭い清めていた。
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