Pets!13


しかし、これはオシオキなのだった。
今にも下着を脱ぎ去り、元親のペニスに腰を落とそうとしていたみつきは、当初の目的を思い出し、残念そうに眉を寄せると優しくクルクルと撫でていた亀頭を思い切り足の指先で抓り上げた。

「ッイ──!?ガ、ァ、ッア、ヒ、」

食いしばっていた口元がその痛みと衝撃に引きつり、唇の端からたらりと粘着質な唾液が零れ落ちる。
それでもみつきは亀頭をねじり上げるのを止めず、体重をかけると硬く緊張した腹筋にペニスを押し付け、ゴリゴリとそれを踏みにじった。

「ウッ、グッ、や、ヤメ、ッ、ン゙─ッ!」
「元親、反省しましたか?反省したら、私の事、『みつき』って呼んでご覧なさい?『みつき、ごめんなさい、すいませんでした』って、ちゃんと、しっかり、謝りなさい」

みつきの足から逃げようと腰が跳ね、ジャラジャラと錠がぶつかる音が鳴り響く。
その中に途切れ途切れの喘ぎとくぐもった悲鳴が聞こえ、それが益々みつきの身体を熱く興奮させる。
早く謝罪の言葉を聞いて、元親を許してあげて、このペニスをお腹の奥の奥まで埋め込みたい。
みつきはペニスをにじる足を止めず、両手を壁に付くと腰を屈め、顎が上がってしまった元親の顔に唇を寄せていく。

「─元親、みつきって、呼んで?」

見開かれている右目は綺麗な薄い色をしていた。
下毛の色も淡かった。色素が元から薄いだろう、とその瞳をまじまじと見つめながら、みつきは吐息に混じった唾液がかかる程、元親のしまりのない唇に顔を寄せ、「もとちか?」と優しくその名前を呼ぶ。
ふるり、と足の下のペニスが小さく震えた気がした。

「─っ、ハッ、ッ、っく、クソ・・・」

まったく・・・、と悪態を付く唇に噛み付いてやろうとした瞬間、小さくそこが噤まれる。

「・・・みつき、・・・ッ、みつきッ、みつきっ!」

熱い呼吸の狭間に低く、掠れた声が自分の名前を呼んだ。
悔しげに唇を歪ませて、震わせて、怒鳴るように自分の名前を連呼する。
その表情、少しハスキーな低い声。
思わず鼓動が高く跳ね、同時に腸壁がきゅう、と締まる。
身体の奥からトロリとした熱い粘液が溢れ出る感覚に、みつきは小さく身体を震わせて一度唇を舐めるとにんまりと口角を上げる。

「ふふふ・・・ふふ、いい子、・・・いい子です、元親はとってもいい子・・・」
「う、るせっ!早くあ、足、足っ!ッグ、ど、退けろってんだっ!」

唾を飛ばしながら必死に言い募る元親をしかしみつきは蕩けた笑みで見下ろすだけで、ただそっと壁に付いていた手で銀色の髪を撫で付ける。

「っふ、クソッ!話が違うじゃねぇかっ!」
「だぁめ、ふふ、だめですよ元親。名前だけじゃダメです。謝らないと許しません。ほら、早く・・・」

酷く腹立たしい言葉を告げる声は、甘く、蕩けた響きを持っていた。
その声と、細くひんやりとした指先が耳の後ろ滑り首の輪に触れる感触に、一瞬ペニスの責め苦を忘れ我に返った元親は、見上げ続けていたみつきが思った以上に間近にいる事に思わず息を飲む。
自分を映し出す黒目がちな瞳をとろりと潤ませ、まろやかな頬は桃色に上気していた。
間近で瞳を合わせたまま、みつきはきゅう、と切なげに眉を寄せ、赤く、唾液に濡れた唇が「早く・・・もとちか・・・」と掠れた声を吐く。
唇にかかるその吐息が酷く熱い。

『こいつ、俺に欲情してやがる─』

「・・・ッグ、」

みつきが自分を欲している、と気付いた瞬間、元親のペニスの奥に、ズグン、と痛みに近い快感が走った。
変わらず踏み躙られているそこがビクビクと痙攣し、親指が捻じ込まれている尿道口がパクパクと開閉する。

「ッ─!グッ、ッ、ッ、」

腿に貼られたガムテープが何枚か剥がれてしまう程激しく痙攣する腰に、みつきは溢れる唾液を必死で飲み込みながら「はやく、はやく、」と足裏を抉りこませる。

「─ッ・・・す・・・ン・・・っ!」
「・・・っ、・・・ふふ、元親、聞こえないですよ?・・・ほら、もっと、ン、元親のおちんちんの濡れた音、これくらい、よく聞こえるように、『すいませんでした』って、早く、射精、踏まれて射精、しちゃうんですか?元親はそんな変態さんなんですか?・・・違うでしょう?早く、私に聞かせて・・・?」

みつきは壁から残った手を離し元親の肩に両手を置くと、益々体重をかけてペニスを捏ね潰す。
ぐぅう、と元親の喉から唸りのような声が溢れ、それと同時にとうとう食いしばられていた口が大きく開かれた。

「───さ──したっ・・・ッ、ッ!サーセンッシタァ!」

間近にいたみつきの耳に、びぃん、と耳鳴りを残す程その声は大きかった。
とろりと蕩けていた瞳を瞬かせ、コテンとみつきは小首を傾げる。

「・・・『さーせんっしたぁ』って、今『すいませんでした』って言ったんですか?」
「ッ、ふ、んだっ、よ、文句、あんのかよっ!」

─まるで不貞腐れた子どものような謝り方だ。
大の大人が、きっと自分よりも年上だろう元親が、こんな謝り方をするなんて─

─かわいい、なんてかわいいんだろう─
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