Pets!9


「佐助?どうしました?」

不意に柔らかい声で名を呼ばれ、佐助は俯いて隠していた表情を僅かに引きつらせる。
不自然ではない勢いでそっと顔を上げると、少し離れた場所から優しげな顔をした少年がこちらを心配そうに見下ろしていた。

「・・・いやー、俺様達はこれからどうなっちゃうのかなーって考えてただけさ・・・こんな格好させて・・・なに?まさかアンタの夜伽の相手でもしろってワケ?」

色気の原因ともなっているだろう南蛮の服に隠れた身体つきは、男のくせに妙に肉付きがよかった。
佐助は先程松永が撫で回していたむっちりとした腰元をわざといやらしげに見つめて挑発するが、しかしみつきは「夜伽とは性行為の隠語ですよね?ならば答えは『はい』です」と心配気な顔を一転、ふわりと満面の笑みに変える。
よちよち歩きの子猫でも見つめているようなその表情に「その顔で性行為とか・・・」と気の抜けた声を出す佐助だったが、隣でそれを聞いていた元親は堪えられないとばかりに「おうおうおう!」と大声を上げた。

「ふっざけんじゃねぇ!何勝手な事言ってんだ!大体男の癖に男と乳繰り合おうってのが気持ちワリィんだよッ!それよかもう一度そこの風魔の野郎と勝負させろ!それで俺が勝ったら俺達を解放し」
「ダメです」

大海原でも鳴り響く元親の怒鳴り声をあっさりと遮ると、みつきはツンと尖らせた唇に細い指先をあてる。

「三人で小太郎に勝てなかったのでしょう?それならば元親一人ではもっと無理だと思います」
「そ・・・んなこたぁ、やってみねぇと分かんねぇだろうがっ!」

ガチャ、と手首の錠を鳴らして意気込む元親に、みつきは笑みを苦笑に変えた。

「やらなくても分かります。私の小太郎が負けるはずがありませんもの。ふふ、元親は元気が良くていいですね。・・・でもちょっと口が悪いです。ペットは飼い主がきちんと責任を持って躾けなければいけないんですよね?叔父様」

くるり、と松永を振り返ったみつきの眉は困ったように顰められていたが、しかしその下の瞳はキラキラと輝き、頬は桃色に紅潮していた。
義理堅い事にどうやら自分の許可を求めているらしい、と松永はそのいじらしさとかわいらしさに頬が脂下がってしまいそうになるのを押さえ、ソファから身を起こすとみつきの柔らかな髪を撫でてやる。

「ああ、この三人はもうお前のペットになったのだ。お前好みによく躾けてやると良い。私は仕事に戻らなければならぬが三人が慣れるまで、しばらく風魔を置いておこう」

あまり夜更かしはするでない、そしてくれぐれも飼い犬に噛まれぬようにな、と耳元で囁き、嬉しげに「はい、叔父様。ありがとうございます」と応えた唇に小さくキスを落とす。
そのまま振り返る事なく部屋を去る松永だったが、ジッと松永を見送った佐助は、昨夜も見てしまった何かを企むようにニマつく松永の顔を再び垣間見てしまい、今後の予測を益々不安なものにさせるのだった。
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