ツクモ、起きているか。 ノックもなしにドアが開かれ、そう言われる。ほんのり香る酒の匂い、Yシャツ姿で第三ボタンまで開けているところを見ると多少酒が入っているのが嫌でも分かる。 「もうすぐ寝るつもりよ。」 そういう私は寝間着を着て寝る体勢に入っていた。明日は特別大事な仕事がないものの、正直早く寝たいのが本音である。 「そうか、それなら」 少し構ってくれ、と明日の準備をする私を後ろから抱き締める。薄い生地から平門の体温が伝わる。耳元にかかる吐息が温かい。 「酔っぱらっているなら早く寝た方がいいわよ。」 身体の熱が上がるのを感じながら冷静に話す。 「まぁそういうな。それに酔っぱらっていないぞ。」 強く抱き締められ、耳元に囁かれる。ビクンと反応したのを見てうなじに顔を埋める。早く寝たいと思うのに抵抗しないのはきっと惚れた弱みってやつだろう。 「ツクモ……。」 吐息混じりの声でそう呼ばれる。深い紫の瞳と目が合い自然と目を閉じる。唇が触れたかと思うと次に深い口付けをされる。息が辛くなり胸板を叩くとやっと離してくれた。肩で息をしている私を間髪もなく抱き抱える。 「前言撤回だ。」 そう言い私をベッドに優しく寝かせ、覆い被さる。 「今夜はずっと付き合ってもらうよ、ツクモ。」 「………もうっ。」 そう言い、彼の首に腕を回した。 |