深く口付けると逃れようとするから、頭を引き寄せ逃げられないようにする。舌を割り込み歯列をなぞるようにすると制御の声も次第に甘い声に変わり、喘ぐような声になる。
こうしてキスしていると自分が狼にでもなった気分だ。
目を開けば真っ赤で苦しそうな春歌の顔。
ましてやここは誰が入ってくるか分からない控え室。興奮せざるおえなかった。



「やっ……ん…うっ…」

「……はっ…」


唇を離すと とろん とした表情でこちらを見る春歌。その顔を隠すように胸板に押しつける。


「そんな顔しないでくれ…」


「す…めらぎさ……」



「興奮……するから…」


「皇さん……」


背中に回る小さな腕に力がこもる。


「大丈夫ですよ……」

「何がだ…」


「興奮しても、です……」

恥ずかしいのか隠すように胸板へすがる。


「春歌……。」


少し距離を離し直ぐに抱き抱える。目を丸くして俺を見つめる。


「…え?…あ、あの」


「………。」
お前が言っただろうと目で伝える。何となく察したのか今更青い顔をしている。そんな彼女をソファーにそっと寝かせる。

「覚悟、しろよ。」


ネクタイを緩めながら、もう一度キスをしようと顔を寄せた。


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