「……栞」


「塚本くん……」


キスされると思い軽く目を瞑る。
間もなく軽くキスをされると、吐息が耳元に当たる。


「栞、言ったはずですよね?二人っきりの時には」


名前で呼んでくださいって


耳元に感じる吐息に思わずビクンと反応する。


(そうだった……。)


「ご……ごめんでもつい………。」


「まぁ今までの呼び方で慣れてしまいましたよね。…しかし慣れてもらわないと」


一瞬考える素振りをするが直ぐに何か思いついたような表情をする。それが気になり栞は塚本に聞く。


「どうしたの?塚本くっ………っん」


何故かキスをされた。いきなりのキスに戸惑っているとキスされたばかりの唇に塚本の指が触れる。


「考えたんです。どうしたら僕の事を名前で呼ぶか。」


「うん、それは分かるんだけど。」


(先刻のキスとどう関係があるのよ!)


「それで決めたんです。『塚本くん』と言ったらお仕置きにキスをするって」


「えぇ!?」


そんな事されたらこちらが心臓が持たない。


「塚本くん。それは色々困っ…ん」


「僕のことを名前で呼べばしませんから、困りませんよ。だから、」


早く慣れて下さいね、栞


と耳元で囁く。そんな私は顔を真っ赤にしながら顔を縦に頷くことしか出来なかった。


あぁ、勝てない。

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