明日は待ちに待ったきーちゃんの誕生日。プレゼントとしてケーキを作ろうと思ったけど……。スポンジが何回作っても上手くいかない。大ちゃんに試食してもらったけど「こんなん食わせるのか?お腹壊すぞ。」と言われた。本当にひどいよね!
剥きになって何回も何回も作ったけど、できるのは焦げた茶色い物体。自分で言うのもなんだが、とても食べさせられるような状況じゃなかった。
窓から橙色の光が差し込んで来た頃。私は結局、市販のものを買ってきてしまった。

「きーちゃんお誕生日おめでとう!」

「ありがとうッス!」

と言い抱きついてくる。私も抱き締め返した。
去年はテツ君や大ちゃんも居たけど、今年は私達の関係を気遣ってくれたので、私の部屋で二人っきりである。

少しした後、私は昨日買ったケーキを出した。


「わぁ〜美味しそうッスな〜」

「……市販やつでごめんね。」

「しょうがないッスよ。時間がなかったんッスから。」

「…………うん。…ごめんね。」


しょうがないとは言えきーちゃんに嘘つくのは胸が痛むなぁ……。ケーキ………あっ!

「ごめん、きーちゃん。ちょっとトイレ!」「あっあぁ……いってらっしゃいッス」

そう言い、私は部屋から出てきた。



「良かった〜ちゃんと冷やしてあった〜。」

冷蔵庫の中を見て安堵の息を漏らす。いくらきーちゃんに食べさせられないとはいえ、捨てるのは勿体無いと思い、残しておいたのだった。

(きーちゃんが帰ったら一人で食べるつもりだけど……。思えばこんなに食べられるかな?)

今更ながら自分のお腹を心配する。だがいつまでもここに長居はできない。自分の部屋できーちゃんが待っているのだ。

「あれ??このケーキ、もしかして桃っちが作ってくれたんッスか?」

「きーちゃん!!」

冷蔵庫の扉を閉めようとしたとき何故か隣にきーちゃんがいた。いつのまに…!?

「な、なんで!?部屋にいたんじゃ……。」

「あまりにも遅いから何かやってるのかなーっと思っていたら此処にいたから」

俺は声をかけたんッスよ
ニコッと整った顔が微笑む。

「それより桃っちが作ったケーキ食べていいッスよね?」

「い、いやでも。お腹壊すよ?」

「頑丈だから大丈夫ッスよ。それに俺は、」さつきのケーキが食べたいんッスよ。


……そんな事言われたら断れないじゃん。


「お腹壊しても知らないからね!」

と言いながらも焦げ茶色の物体にクリームと苺がのせられる。

「大丈夫ッス。その後にデザートが残ってるッスから。」

「なんの事?」

市販の物の事?

そう聞くときーちゃんは笑って、やだなぁと呟く。

「さつきに決まってるでしょ。」


「え……」

私がデザート……。
つまり………。
それ以上の事を考えるとたちまち身体の体温が上がった気がする。棒立ち状態の私をきーちゃんは引き摺るように歩かせた
「まぁ今はケーキを食べに行くッスよ」

心無しかケーキが強調された気がする。
ケーキといえるのか分からないものが乗っている皿を片手で持ちながら私の手を握り歩く。


6月18日。

まだまだ長く続きそうです。

   Happy Birthday 2013
     Kise Ryouta

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -