平門の手伝いで書類の整理をしている時だった。 「痛っ」 見ると薬指に傷ができており赤い液体が滲み出ている。どうやら指を切ったようだ。 (……書類が汚れちゃう。) 素早く書類を近くのテーブルに置いた。 「痛っと聞こえたが。」 何かあったか。 と平門が書類から目を離した。少し距離があるが彼女の指から赤いものが見える。 「切ったのか?」 「えぇ。」 ツクモの方へ近寄る。手袋を取り、指に触れる。かなり深く切ったみたいだ。 「こ、こんなの舐めれば治るから!」 「舐めれば、ねぇ。」 次に彼女は『だから平門は仕事を続けて』とでも言うつもりだろう。 ツクモが口を開く前に先に動いたのは平門だった。 手首を掴み、指の傷を舌で舐める。 「!!」 傷がしみたのかビクンと反応する。 面白い。 と思い、口に含んだり、傷を舐めたり。 「っ……くっ…やっめ」 顔を歪ませながら掴まれている手を離せとばかりもがく。 それでも止めてくれない平門にツクモはとうとう「〜〜平門の変態!!!」 自由な右脚で腹を思いっきりキックした。 「っ」 流石に聞いたのか一瞬力が緩まった。その隙に掴まれていた手首を解放させ、自分の部屋まで逃げた。 全速で走ったのに一番熱帯びていたのは切り傷を負っている薬指だった。 |