きーちゃん、何聞いてるの? 桃っちは首を傾げながら聞く。 あぁと俺は音楽を止め片方のイヤホンを取った。 「今月CD売り上げランキング一位の曲ッスよ」 「あぁ、あれ音楽番組で聞いたよ。」 良い曲だよねーと桃っちは言う。 ふと、俺は思い付いた。 「桃っちが良ければ、」 一緒に聞かないッスか? 持っていたイヤホンの片方を指差しながら言う。 「いいの?ありがとう!一度でいいからフルで聞いてみたかったんだよね。」 ありがたく聞かせてもらうね。 と言いイヤホンの片方を耳につけた。 良かった、喜んでもらえたようだ。 俺はホッとしながら曲を最初からにして再生する。 「音量はこれぐらいでいいッスか?」 「大丈夫だよ。」 ノリのよい曲を耳に感じながら桃っちの顔を覗き見。俺にとっては幸せな時間だ。 曲はすぐに終わり、次の曲になりそうになるのを慌てて止める。 「ありがとう。きーちゃん。」 「どうってことないッスよ。」 俺は次にイヤホン、受け取るッスよと言おうとした。 でも先に口を開いたのは桃っちだった。 「あっあのさ!きーちゃんが迷惑じゃなければ他の曲も聞いていい?」 予想外な言葉に驚いた。今俺の顔はきっと間抜けな顔してるだろう。 早く返答しなくては。そう思い、呆然としていた顔を横に振り、告げた。 「迷惑なんかじゃないッスよ。」 俺は笑顔で言った それを聞いた桃っちはいつものように笑っていた。 イヤホン越しの距離 |