おっ、いたいた! 「やっぱり残ってたわね。」 「カントク!」 そこには思っていた通り日向くんがいた。 彼はここ最近部活がない日も一人で練習している。 今日もやっているかと覗いてみると案の定彼がいたので思わず声をかけてしまった。 「後何分ぐらいやるの?」 「一時間はやるつもりだが……」 「よし!じゃあこの私が特別にみてあげる!」 「えっ……いいんすか?…」 「モチロン!最初っからそのつもりだったから!」 「じゃあ……お願いします。」 日向くんの個人練習はかなりやりごたえがあり、私もつい熱が入ってしまった。 あっという間に一時間が過ぎてしまった。 青かった空もオレンジ色に変わっていた。 「それじゃあ早く帰りましょ。」 「あっカントク今日俺自転車なんでこれで……。」 「はぁ?せっかく付き合ってあげたのに置いてくつもり!!」 頬膨らませて怒る。 「そう言われてもしょうがないだろうが……。」 「分かった!後ろに乗ればいいじゃない!」 「聞いてねぇか……」 「男の子なんだから乙女一人大丈夫よ!」 「誰が乙女「え??なに?」……何でもないです。」 しょうがないかと思い、後ろに乗ってもらうように言う。 「ほら、出発進行!」 「はいはい。」 腰に回る手を確認し、いつもより重いペダルを踏む。 「日向くん、スピード遅くなってるわよ!」 後ろから大声で言われる。 「こっちの身にもなってくれよ……。」 そう言いつも、ペダルをこぐ足を早くする。 「おぉ早くなった!!もう少しよ、頑張って。」 「………うっす」 俺たちの影がオレンジ色に染まる。 |