文仙 | ナノ
サァサァと雨が降っていた。
黒雲のかかる忍術学園はいつになく静かだ。
潮江文次郎は六年長屋の廊下を音もなく歩き、自室に向かっていた。
文次郎は今日は会計委員会の活動がなく、ろ組の二人――中在家長次と七松小平太を鍛練に誘おうとしたが、図書委員会と体育委員会は活動があるようで断られたのだった。
文次郎は一人で鍛練をしようかとも思ったが、ちょうど場所が図書室だったから、雨も降っているし自室に戻ってゆっくり読書でもしようと思い直し、い組部屋に向かっているのだった。

からりと軽い音を立てて開いた戸の奥では、同室の美丈夫が自慢の髪を広げて床に転がっていた。
「………なにやってんだ、お前」
予想のつかなかった光景に気の抜けた声が出た。
それを聞いてか閉じていたまぶたを開いて仙蔵は文次郎をその瞳に写す。
「ん………文次郎か、何の用だ」
「何の用、って………自分の部屋に戻ってくるのに用もくそもねえだろ………」
脱力しながら答え、文机に向かう。
「いやなに、いつもこの時間ならまだギンギンギンギン喧しくしているのになと思ってな」
「ギンギン喧しくってひでぇ言いようだな」
「事実だろうが」
「………お前こそ床に転がって何してたんだよ」
口では仙蔵に敵わないのが文次郎である。早々に話を変えた。
仙蔵は床から起き上がり、机に向かい本を広げる文次郎の背中を眺めながら言った。
「なんでもないさ。脳筋バカのお前と違って私は頭脳派だからな、たまには頭も休ませてやらんと疲れるだろう?」
「悪かったなぁ、脳筋バカで」
くすくすと笑う仙蔵の言葉に不機嫌に返す。ピシリと浮いた不機嫌をため息と共に吐き出した。
「まあ、」
ひとしきり笑いこけた仙蔵が、また口を開く。同時に、文次郎は背中に温もりを感じた。
「たまには休みも、必要だからな」
背中合わせで薄く笑みを含んだ仙蔵の声が心地好い。
文次郎もまた薄く笑って、そうか、と呟いた。















中途半端すみませ……!
山なしオチなしでごめん/(^o^)\
愛だけは込めた\(^o^)/
リクありがとでした!><

20120510.
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