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最終トラップ(綾部)


私、これでももとは忍者の端くれでして、昔は天才なんて呼ばれたこともあったんです。私はその頃ひどく穴を掘ることに熱中していましたから、穴掘り小僧だなんて仇名ももらいましたが、罠を仕掛けることに関しては私の大好きな二つ上の先輩も褒めて下さるくらいで、本当に認められていたんです。
でもね、私、とってもとっても大事な人を、あぁその先輩ではなくて、同い年のとっても大事な人を、私の罠で殺めてしまったんです。私は彼を私の落とし穴に落としたいと思った事はありましたけれど、死んでほしいとか殺したいだなんて、一度だって思ったことはありませんでした。
それなのに彼は、私があの人を殺すために仕掛けた落とし穴に、あの人が落ちる前に落ちてしまって、なんてなんて悲しいことに、そのまま死んでしまったのです。
私は途方に暮れました。だって彼は、私があの人を殺そうとしているのを知っていて、あの人を庇って死んだのですから。
それから私は、穴を掘るのを止めました。罠を掛けるのを止めました。もう、愛しい人を殺めないために。自分自身への罰として。



………でもね、先輩。七松小平太先輩。
私は貴方を、私の罠で殺さずにはいられない。僕から滝夜叉丸を奪った罪は重いんです。
だから、七松先輩、僕の穴に落ちて、死んでください。
さようなら。僕が唯一愛した彼に愛された唯一。







七松←滝←綾部

20120503.


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