03

どうなっているのかわからず、どうしていいのかもわからず、この場から逃げたくなった。


どこか一人でいられるところに、


「ごめんね、なんか世話をかけてしまったみたいで。もう大丈夫だから、ありがとう。君も濡れてるし、このままだと風邪を引くから早く帰った方がいいよ。それじゃあ」

今までずっとこちらに向けていてくれた傘を手のひらで戻し、公園を出ようと走る。冷たい雨がまとわりつくが、今はその冷たさがありがたい。


泣きそう。

訳がわからない。


足元が覚束ないまま走っているうちに高い建物ばかりの通りに出た。路地に入って足を止める。一気に力が抜けて膝が抜けた。
水溜りに足が浸かるが気にすることもできない。携帯を取り出して電話帳を開く。適当に押して耳に当てても、呼び出し音一つ鳴らなかった。

「なんで…っ」

役に立たない携帯を投げたくなるが、唯一の自分の手がかりだ。
振りかぶった手を下ろし、膝を抱え頭を下げた。
自分に降りかかった出来事が処理しきれず涙が出る。

思い切り泣いたら深呼吸して警察に行こう。

ただ今だけは感情を処理するために、




ばさりと頭の上に何かが乗った。それと同時に腕を引かれ立ち上げられる。勢いでよろめくが、誰かは止まる気配を見せず、腕も放さず早足で歩く。それに引き連れられるように後ろを歩く羽目になった。

頭に乗せられてるのはタオルで、腕を引いているのは先ほどの男の子だということに気が付く。
口を開こうとしても泣いている今は声が出ず、勢いのまま歩かされたため踏ん張りが利かず足は止まらない。

何よりも、心細い今この状態で、出された手を振り払えるほど強くはなかった。









CreationDate:2015.06.03




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