02 「すみません、とうと、ってどこですかね?」 「はあ!?東都だよ!?知らないの!?日本の首都でしょ!?」 日本の、首都、!? 「はあ!?日本の首都は東京でしょ!?」 「とうきょうってどこ!?」 何かがおかしい。嫌な予感が急激に広がっていく。 ここはどこで、私はどうやって来たんだろう。 理解できない事態に手が震える。誤魔化すためにポケットに手を突っ込むと、携帯が入ってることに気付いた。 携帯さえあればと半ば希望を持って取り出したが、携帯には圏外と表示されている。 「私の携帯、何故か圏外でね。申し訳ないんだけど、ここに連絡してくれないかな」 電話帳から母を表示して彼に見せると、彼もあんまり関わりたくなかったのかすぐにかけてくれた。渡された携帯を耳につけて、呼び出し音を聞く。 呼び出し音が切れて、もしもしと話された声は、聞いたことのない声だった。 「…もしもし、千百合だけど、…お母さん?」 お間違えではないですかとの返事に、血の気が一気に引くのを感じる。 なんで、 「…すみません…間違え、ました…」 力の抜けた指で電話を切り、彼に返す。 意味がわからない。 ここは、どこ? CreationDate:2015.06.03 [ 2/4 ] [Put a Bookmark] 戻る |