Day1.06

一同はバスに乗り込んだ。シュガーはバスの後ろ側の席の窓際で冊子に肘をつきながら外を見ているソルトを見つけ、そっと横に座る。ソルトは目線だけでシュガーを一瞥したが、何も言わずにまた外に移す。

臨海学校前の興奮からかざわざわと賑やかな中、シュガーは何かに気付くとソルトに一言言い、バスを出た。

「えー、おほん」

シュガーが出るのとほぼ同時に運転席側から声が上がり、みんなは前を向く。そこには一人の老人が立っていた。

「うわっ!!どっから出たヌ〜!?何者だヌ〜!?」

驚くカベルネに、ペシュは怒鳴る。

「何者とは何事ですの!?校長のグラン・ドラジェですの!校長は、生きた伝説と呼ばれてる凄い魔法使いですの!!」

「…シーラカンス?」

なかなか話ができそうもない雰囲気に、グラン・ドラジェはもう一度「おほん」と堰をした。


「えー、みなさんに、お話があります。今回のキャンプは、みなさんの魔法の力を見ぬくテストでもあります。したがって、キャンプの途中でネを上げて帰って来たりした人は……その場で退学!!この学校から去ってもらいます」

まさかの発言に目を見開く一同。

「なんでだっぴーーーーーッ!?」

一番危なそうなピスタチオは顔を真っ青にして叫んだ。

「何か事件が起きた時、マドレーヌ先生は『もう帰りましょう』なんて事を言うかもしれませんが、それは罠です。その言葉にさそわれてノコノコ帰って来た人は退学です。
 本当はこの事は、生徒には内緒になっておるんじゃが君達には特別に教えちゃいました。わしがここで、こんな話をした事はマドレーヌ先生には内緒にしておいてください。以上」


「ほら急ぐのよショコラ!マイペースなのはしょうがないけど、皆待ってるんだから!」

「んー。らくちん」

みんながグラン・ドラジェの言葉に困惑している時、ようやくマドレーヌがショコラを連れて現れた。

「…あら、校長先生いつの間に……?」

「それじゃ、わしはこれで!!楽しいキャンプをッ!!」

怪訝な顔をするマドレーヌにぎくりと肩を揺らしたグラン・ドラジェは、慌ててバスを降りたのだった。









CreationDate:2007.06.18
ModificationDate:2015.04.25




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