Girl's Side -Day4- 01

「それじゃ、お言葉に甘えて、私達、魔バスで待ってるけど…本当に大丈夫〜?」

アランシアが心配そうに四人を窺う。

「大丈夫、大丈夫」

「私たちが揃っててダメなはずがありませんの!」

「…二人は悪魔で一人は荒くれ者…エニグマに同情しちゃうっぴ」

「なんか言った?ピスタチオ?」

「嘘!嘘だっぴ!」

毎回のことながら、一言多く、詰め寄られて焦る学習能力のないピスタチオに、キルシュが呆れて肩を竦めた。

「…ま、ケガしないように頑張れよ」

「気を付けてね!無理しちゃダメだよ!」





「ひゃっひゃっひゃっひゃっ」

「やんだー!助けてけろー!」

四人(バルサミコも入れて)に見送られ、宮殿に入り裏門へと向かうシュガーたちの耳に叫び声が届く。

「なんだ!?」

慌てて声の方に向かうと、裏門の前で門番だろう二人のドワーフが異形の魔物にくるくると回されていた。

「…何?あれ?」

「なんか楽しそうに見えますの」

「なんだーーーッ!?オマエたちわーーーッ!?オマエらも、ドワーフみてぇにクルクル回してやろうかーーーッ!?」

様子を見ると、ドワーフたちはただただ回されているだけのようだ。どんな状況?と混乱する四人に、魔物は気付き、吼える。

「いえ、結構です」

「なんだとォォォォォォーーーッ!!!!許せんぞ!!オマエ!!殺ーーーッす!!」

え、面倒臭いんだけど、と言わんばかりのシュガーの冷たい目と返答に、機嫌を損ねた魔物は襲いかかってきた。





「うおーーーッ!!許せーーーん!!許せんぞーーーッ!!おぼえておけよーーーッ!!」

「いんやー!!助かっただー!!」

「もー、感謝感激雨霰だべ〜」

魔物を倒したシュガーたちに感謝の言葉を述べるドワーフ。彼らはヌクマムとナンプラという。彼らが言うには、あれはブッチーネ3世という魔物で、ドワーフを回す事が生き甲斐であり、回し始めると死ぬまで止めないらしい。

「…何が楽しいんだ?」

「よくわからないですの」

「そんな生態の魔物もいるなんて世界は広いわね」


「いんや〜、命拾いしたないや」

「んだずー。命の恩人だ。この門は自由に通ってけれ」

「金は後でええだな?」

「んだ。後でええだ」


「あ…どっちにしろ取るんだ…」

殆どのドワーフが金に煩い守銭奴らしいが、やはり例に漏れなくヌクマムとナンプラもドワーフであった。









CreationDate:2015.06.21




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