Boy's Side -Day3- 07

「…物質プレーンに戻る時まで会わない」

「シュガーだってお前を探してるだろ?」

「…駄目なんだよ」

「だからなんでだよ?」

「いつかは離れるんだ。…依存したままじゃ駄目なんだ。…俺も、あいつも」

「だからこの機会を利用して徐々に離れるって?」

「…あいつは巫女で…俺たちとは違う。巫女には巫女の役目が有る」

「別に離れる必要はないだろ?」

「……お前、わかってるだろ?」

「……何を?」

「……。…俺とあいつが血が繋がってないって」

「……………ああ」

「俺たちは巫女の隠れ蓑だった」

「俺たちって、お前と、両親、か?」

「……いきなり『この子は新しいキョウダイだ』っつって連れてこられた。巫女だってことも、いつかは離れていくことも教えられて、それまで守ってやれって言われた。両親はそこまで考えてなかったかもしれないけど、現実、俺たちは『巫女を守るため』の存在だった。連れてこられたシュガーは、それまでの記憶が一切消されてて俺たちを本当の家族だと思ってたけど」

カシスは静かに聞いていた。

「…………最初は嫌いだったのになぁ。気が付いたら近くにいて、俺もあいつがいることが当たり前になった。どうせ離れていくのに、いなくなるのが怖いと思った。……あいつの記憶は所々消されてる。当時、子供だったあいつには耐えきれなかっただろう記憶だ。……一度、思い出したな」

ナイトビュッフェの件だろう。

「……本当はそのまま思い出してもよかったんだ。…むしろ、思い出さないと駄目だった。…あいつの為とか言ったけど、本当は俺自身の為だ。…思い出したら、あいつと俺の家族の繋がりは消える。……いなくなると、思った……」

カシスは黙って聞きながら、もっと単純に考えれば良いのにと心の中で呟いた。勘は鋭いはずなのに、どうして自分たちのことになるとここまで鈍くなるのか。なんだかんだ、子供だよなぁ。

こうした方がいいと口にするのは容易い。けれど、このことに関しては自分たちで解決するべきだろう。

寝ずに考えすぎて疲れたのか、ぼやけた頭がショートするように眠りに落ちる。ソルトの寝顔を見ながら、カシスは世話がやけるねと溜め息を吐いた。









CreationDate:2015.06.01




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