Girl's Side -Day3- 19

「いったい何があったんだ?」

魔バスに戻った一同は、温泉に入って温まってから寝ようという話になった。シュガーが「まだ開いてるのかわからないからちょっと見てくるね」とバスを降りて、その後のレモンの言葉だ。

トルーナ村での出来事の後、バルサミコの登場と宮殿のお陰で気まずかった雰囲気が払拭されたと思われた。しかしどうにもシュガーと三人の間にある微妙な空気は消せない。それを敏感に感じ取ったレモンが、シュガーがいなくなった魔バスの中で問いかけた。

「何って〜?」

「シュガーとオマエら、何かあったんだろ?」

「……」「……」「……」


三人は俯いて沈黙したが、このままでいるわけにもいかないと顔を見合わせる。腹を決めて、トルーナ村で起こった事を話した。


「……そう、そんなことが…」

「考えなしだったオレが悪いってのはわかってるんだ。けど、怒鳴っちまった手前、普通に接するのも、なんかな…」

がしがしと頭を掻きながらキルシュが言う。

「謝ればいいですの!」

「タイミングを逃して言いづらいっぴ…」

「意気地無しですの!」

「うるさいっぴ!!」


「シュガーはあなたたちを思って言ったのね」

黙って事情を聞いていたブルーベリーが話し始めた。

「え…?」

「非難される覚悟がないなら干渉するなって言ったんでしょう?言ってしまえば、それだってシュガーからの干渉じゃない。どうでもいいなら放っておけばよかったの。けど、みんなのためを思って言ってくれたのよ。非難されても、嫌われてもいいっていう覚悟を持って忠告してくれたんだわ」

その言葉は三人に重くのし掛かる。早く、言わなければ。

「ただいまー。温泉やってたよー。みんなで行こう」

「「「ごめんなさい!」」だっぴ!」
「…!?」

シュガーの声に反応して発した言葉は重なった。

「オレたちの事を思って言ってくれたのに、怒鳴ってごめん」

「!…ううん、私こそ、厳しく言ってごめんなさい」

「シュガーは悪くないよ〜!」

「でももっと別の言い方があったと思うし」

「そんなことないっぴ!」

「…でも…」


「フフッ」

お互いが謝り続けて終わらないやり取りに、レモン、ブルーベリー、ペシュが笑いだす。つられてシュガーも吹き出し、全員に伝染した。

先程までの心地悪さが嘘のようだった。









CreationDate:2015.05.21




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