Girl's Side -Day3- 16

「助かったからなんだって言うんだッ!!戦わなければ生きていけないなら、なぜオレは愛の大使なんかに生まれてきたんだ!!オレはもう…愛の大使なんかじゃない…生きてる資格なんてない!!」

「トルティーヤ、アンタは英雄だ。胸をはれよ」

「ハッ!このオレが英雄か!村へ帰り、みなの前で、『オレを見ろオレがしたように戦え』、そう言えばいいのか!?」

「誰もそんなこと言ってないっぴ…」

投げ遣りになるトルティーヤに、みんなかける言葉なく黙る。シュガーはトルティーヤを見つめながら口を開いた。

「子供ね」

「…オマエになにが…!」

「どうして愛を一つにするの?」

「何…」

「愛の形は人それぞれ違う。確かに全てのものに優しくするのが愛というのも正しいと思うよ。なら親が子を叱るのは愛ではないの?何かを守るために戦うことに愛はないの?…厳しいことを言う人、する人にだって愛はあるの。あなたの思う愛だけが愛じゃない」

「……」

「愛は思い遣りだよ。優しさだろうが厳しさだろうが、そこにある誰かを思う気持ちは変わらない。あなたは私たちを思って助けてくれた。これから先エニグマに襲われるかもしれない者を思って倒してくれた。
 …そこにあるのは、愛じゃないのかな」

「……」

「ええ、私もそう思うわ。ありがとう、トルティーヤさん」

「あたしも感謝してますの!!ありがとうですの!!トルティーヤちゃん!!」

「センキュ〜、トルティーヤ。オレも感謝してるぜ」

「ありがとう!ムスコさん〜」

「ムスコさん!!あっしらも、それからこっちのイヌちゃんも感謝してるです!」

「イヌちゃん…」

「トルティーヤ殿!!村へ帰りましょう!!ワクティ村の村長として!!」

「私が私なりに持つ愛があるように、あなたはあなたなりの愛を見つければいいと思うよ」

自分で考える愛。それは父親であるガトーが言っていた事と同じなのかもしれない。

シュガーの言葉に随分と考え込んでいたトルティーヤは顔を上げた。それはまだ納得のいっていないものだったが、幾分かスッキリしたような表情だった。

「ありがとう、しんえー隊。それに、みんな。また、どこかで会おう」

「トルティーヤ殿!!」
「お待ちください!!」

トルティーヤはシュガーに視線をやると、目礼して部屋を出る。タルトとタタンも慌ててトルティーヤを追って出て行った。

「……」

「後味悪いっぴ…」

「仕方がないことですの。エニグマが敵だとは言っても、戦って相手が死んでることに変わりはないですの」

「…行こうぜ。レモンとカフェオレを探しに」

「そうね。それと、答えを探しに。どうしてエニグマが私たちを狙うのかハッキリさせないと、今の気持ちを変えられないわ」









CreationDate:2015.05.20




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