Girl's Side -Day3- 13

「エニグマの肩を持つっぴ?どうかしてるっぴ!そっちにエニグマを倒す理由がなくても、こっちにはあるっぴ!酷い目にあったっぴ!!」

「ムスコさん、あっしらも愛の大使の端くれ。ムスコさんの気持ちはよ〜く、わかりやす。しかし、ここは…」

「ムスコさん、今は人を助ける時。誰も手を汚さずに生きてゆける時代ではありやせんぜ。手を貸してやりやしょうぜ」

「オレたちだけでやるさ。オマエはここで待ってな」

「フーーンだ!!おとなしく待ってるっぴ!手柄はくれてやるっぴ!」

タルトとタタンがトルティーヤを説得するが、キルシュとピスタチオは先程の言葉に気分を害したらしく、お前たちの助けは必要ないと言いながらトルティーヤを振り切って歩いていく。アランシアも続く。

愛と闘いという一見矛盾しているような行為に、彼は納得がいかないのだろう。やはりまだ子供だ。愛の大使といえばペシュも彼と同じく愛の大使である。彼女も愛のなんたるかは説明できないだろうが…、

ペシュは本能的に愛を感じているんだろうなぁとシュガーはトルティーヤを眺めながら思った。

そして、ピスタチオたちがプリプリと怒りながら歩いていくのを追う前に、トルティーヤに話しかける。

「『光に怯え、宮殿に引き籠っているだけの相手』」

「!」

「そうだよね。それだったら手を下す必要はないよね。……ただそれだけならね」

「……」

「あなたたちはどうしてエニグマを『敵』とするの?縄張りを作って『籠っているだけ』のモンスターには手を出さないのに」

「……それは、」

「……『だけ』の相手じゃないことがわかってるからでしょう?被害に遭う人がいることがわかってるからでしょう?……エニグマを放っておくなら、被害者を出すことになる」

「……」

「あなたが、それが弱肉強食で、見守るのが愛だ、とでも言うなら、それはそれで良いかもね」

「……」

「ムスコさん……」


「シュガー!何してるっぴ!早く行くっぴ!」

シュガーが付いて来ていない事に気付いたピスタチオが大声で呼ぶのに、返事をしながら足を進めた。

「愛は複雑なものだということは、愛の大使であるあなたたちが一番わかってるんじゃないの?」

トルティーヤの横を通り過ぎる際、一言言い残して。









CreationDate:2015.05.18




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