Girl's Side -Day3- 11

トルーナ村と同じく管轄内のことはその村の村長に聞くのが良いだろうと、シュガーたちはワクティ村に入り村長の家を訪ねた。

「こんにちは。いきなりですみません、ちょっとお聞きしたいことがあるんですが…」

「おお、旅の人か。先程の三人の連れの方ひゃの?」

三人とはペシュ、レモン、ブルーベリーのことだろう。

「多分そうだと思います。彼女たちがどこに行ったのか御存じですか?」

「先程の三人様にレーミッツ宮殿へ入るための宮殿の鍵を渡したのひゃ。用があるなら行かれるとよいひゃ。宮殿の鍵も渡しますひゃ」

「あ、ありがとうございます!」

あっさりと渡された宮殿の鍵に戸惑いを感じつつ礼を言うと、どこからか見ていたのだろうトルティーヤが現れ、抗議を始める。

「父上!!何故余所者に宮殿の鍵を渡すのですか!」

「おお、トルティーヤか。すまぬひゃ。これも全て、愛ゆえひゃ。なにがなくとも、思いやり。それがすなわち、愛ひゃ」

「そんなことのどこが愛ですか!?もっと真剣に考えてください!あなたはもう、村長の資格などない!!」

「そうかも知れん。この村に村長などおらんひゃ。みな、自分で考え、自分で自分を正しておるひゃ」

「私を村長とは認めないと仰るのですね。それも良いでしょう。しかし村のルールと安全は私が守ります」

自分達を置いて始まった親子喧嘩に気まずさを感じながらも待つ一同。村には村でそれぞれ問題を抱えてるようだ。
立場上トルティーヤとガトーに挟まれているタタンとタルトは狼狽えながらもトルティーヤ嗜めた。

「ムスコさん…そのワンドは…愛のデッパリは、ガトー殿にお返ししてくだせぃ。お願いします。いがみ合うのは愛の大使ににつかわしくありませんです」

「出すぎるな!村を守るのはこの私だ!!行くぞ!!今日こそはエニグマを倒す!!旅の者よ、宮殿の鍵は自由に使うが良い。しかしエニグマは私たちの敵。私たちが倒す!」

「手柄は全部ムスコさんのもの!」

「そうすりゃ村人もムスコさんを村長と認めるってもの!」

「その通り!!行くぞ!しんえー隊ッ!!」

トルティーヤの頑なな態度に、タタンとタルトは困ったような顔をしながら付き従い、家を出る。

「すまぬひゃ。見苦しい姿を見せましたひゃ。…ムスコが持ってる愛のデッパリは村長ワンドとも呼ばれ、村長の証とされてきた品ですひゃ。また、ワンドは闇をはらう力を持っているとも言い伝わっておりますひゃ。ワンドを彼に持たせておるのは、村のためでも、彼のためでもありますひゃ。これもまた、愛ですのひゃ」

聞いてもないことを語るガトーは、シュガーたちを一人一人見回すと頭を下げた。

「おぬしらからは強い力を感じますひゃ。…こちらの問題に巻き込むなんて村長失格だと思いますひゃ。でもあの子はまだ未熟、もしよかったら、彼を手助けしてやってほしいひゃ」









CreationDate:2015.05.17




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