Girl's Side -Day3- 10

「いよう!悪ガキども!生きてやがったな!魔バスの天才ドライバー様もこっちに来てるぜぃ!」

愛の大使三人が嵐のように過ぎ去った後、魔バスからバルサミコが叫んだ。

「バルサミコだっぴ!!」

「魔バスまで来てるんだ〜」

「運転手つきか。気が利くな、エニグマ」

「とりあえず乗れよ。遠慮なんかすんなよ。自分ちだと思って寛いで行くんだぞ!」

「でもあんまり乗り心地は…」
「シュガー!シッ!だっぴ!」





「いやぁ〜、さっきはエニグマの仲間だと勘違いされて絡まれてたんだ。まったくオレのどこが悪いヤツに見えるってんだ!?はぁ〜ん?」

四人が乗って早々愚痴を言い出すバルサミコを止め、アランシアが訊ねる。

「ね〜、他の生徒は見なかった?」

「ああ、見た見た。カフェオレとぺシュな。それとレモンとブルーベリーな。あの子ら、仲いいよなぁ」

「キャンディは!?キャンディはいなかったか!?」

「何がキャンディよ!キルシュのバカっ!」

またもや喧嘩を始めたアランシアとキルシュを放置して、シュガーはここを通ったであろうガナッシュの様子を聞く。

「あの子は一人で勝手にどっか行っちゃったね〜。他の四人が帰ってこないって言ってんのに聞きもしねぇ」

「帰ってこない!?レモンたちが!?」

「彼女ら、カフェオレを探しに行ったきり帰ってこないね〜。カフェオレがいれば魔バスもなんとかできるかも知れないのにねぇ〜」

「探しに!?カフェオレを!?訳わかんねぇよ!!」

唐突に言われた言葉に驚き混乱する一同に、バルサミコは自分の言葉が足らなかったことに気付き、謝罪した。

「ああ、ごめんごめん。わかりやすく言うとだな…こっちの世界に飛ばされたショックで魔バスが壊れてしまったんだ。それで困ってたら、カフェオレくんたちが来てくれたってわけさ」

「それで?」

「部品を取り出そうと思ってカフェオレの腹を開けたのさ」

「…カフェオレはどうしたっぴ?」

「逃げた」
「オレも逃げたいよ」

「がーはっはっはっは!!青いね〜、キルシュ青年!!オマエもいずれオレみてぇな汚ェ大人になんだよ〜!!わかってんだろ〜!?」

親父臭く笑いながらキルシュの背中を叩くバルサミコに、みんなは呆れ果てる。

「…。とりあえず、その〜…四人を探してきます…」

「ハァ…」

ピスタチオの吐いた溜め息は、静かになった車内に大きく響き渡ったのだった。









CreationDate:2015.05.17




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