Girl's Side -Day3- 09

「このオレがエニグマの仲間だって〜ッ!?冗談言っちゃいけねぇ!」

「てめぇ、その変な乗り物から出てきて話をしやがれ!!」

「態度悪ィぞ!!」

「いや、態度は確かに良くないが、悪いヤツではなさそうだ。村のものに説明がつけばそれでいい。我々が納得できる答えを聞かせてもらいたい。オマエはどこから来たんだ?」

「しょうがねぇなぁ。ちゃんと聞いてろよ。さっきから何度も説明してるだろ?」

ベナコンチャ遺跡を抜けた四人の耳に、言い争う聞き覚えのある声が届く。

「…今、バルサミコの声が聞こえたような気がする〜」

「…ああ、オレも聞こえたよ」

「…なんか嫌な予感がするけど、行ってみよう」






「魔バスだっぴ!」

魔バスを見つけたピスタチオが大声で叫ぶと、バルサミコと言い争いをしていただろう三人の男たちが振り返った。

「何者だ!!敵か!!」

「キャッ!!いや〜ん、びっくり〜」

「オイラたち、ヘンな魔物に連れてこられたっぴ!」

「エニグマってヤツだ。知ってるか?」

「エニグマ!!それはあっしらにとっても敵!」

警戒していた三人はエニグマの名前を出したことによって敵ではないと認識してくれたらしく、ピスタチオが訊ねた何者かとの疑問に快く答えてくれる。

「あっしらは、ワクティ村の村長しんえー隊ッ!タルトとタタン!そして、真ん中においでなのが、村長のムスコさんだッ!ムスコさんからも一言どうぞ!」

「ムスコさんではない!!村長と呼べ!村長!」

「いや、しかし、呼べと言われても村長はあなたのお父上で…」

「ワクティ村では愛のデッパリを持つものが村長と決まっている。愛のデッパリを父上から譲り受けた以上は私がワクティの村長だ」

「承知いたしておりやすとも。でもそれは、ムスコさんが無理矢理ガトー殿から…」

「ムスコさんではないッ!!私が村長だッ!!逆らうヤツは父上に言いつけてクビにしてやる!!」

「そんな、むちゃくちゃな…」

「そこの余所者ども!早々に立ち去るがよい。この辺りは我ら愛の大使が管理している!近頃ではエニグマも出没すると聞く」

いきなり身内同士で言い合いをしていたかと思うと、村長を自称する男はシュガーたちを追い払おうと警告を投げ掛けた。

「だけど、ムスコさん…わたしたち…」

「ムスコさんではない!!私の名前はトルティーヤ!!ワクティ村の村長だーーッ!!」

「そんちょーしなさい」

「……」「……」「……」「……」

アランシアのムスコさん呼びに我慢ならなかったトルティーヤは大声で怒鳴る。空気を読めないタルトが下らない駄洒落を口走り、一同の間には冷たい空気が流れた。

「…行くぞ!タタン」
「ハッ!!」

「置いて行かんでくだせぇー!」









CreationDate:2015.05.16




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