Girl's Side -Day3- 08

「シュガー!」

ガナッシュの背中が見えなくなってもぼうっと立っていたシュガーの元に、三人が追い付いた。

「ガナッシュは…?」

「…行っちゃった。少し頭を冷やしたいって…」

「…ガナッシュは嘘をついていないと思う。きっとちゃんと手加減したハズよ…」

「ガナッシュのミジョテーを食らって、パニックになって自分の胸からハートを取り出そうとしたんだっぴ…。ガナッシュのせいとも、そうでないとも言い切れないっぴ…」

「…そうだな…。でもアイツはヤケをおこすようなヤツじゃない。帰ってくるのを待とうぜ」

他人事のような三人にシュガーは怒りが込み上げる。それでも冷静に話をしようと、苛立ちを抑え込みながら出された声は震えていた。

「…ガナッシュのせいともそうじゃないとも言い切れない…?…ティラミスが死んだのはガナッシュだけじゃない、私たちみんなのせいだよ」

「え…」

「私たちが首を突っ込まなきゃティラミスは死ななかった」

「でも、あのままだとミルフィーユが殺されてたっぴ!」

「ミルフィーユは私たちに助けを求めたの?むしろ関わらないでって言ってたでしょ。私たちがしたことは余計なお世話で、その結果ティラミスは死んだ。誰のせいでもなくないよ。中途半端に首を突っ込んで、引っかき回して、殺したの。ミルフィーユを悲しませたの。
 いい?他人に干渉するっていうのはこう言うことよ。自分が良かれと思ってしたことでも最悪な結果を呼び込むことがある。干渉を認められていれば責任は双方にあるけれど、今回のように認められていなかった場合、その重荷は自分が背負わないといけない。
 他人の事情に簡単に足を踏み入れるものじゃないよ」

「だったら…!放っとけば良かったって言うのかよ!?目の前で起こってることを無視しろってのか!?」

「覚悟がないなら突っ込むな!!」

「!」

激昂するキルシュに、シュガーは一喝した。

「どうしても助けたい、望まれていないけど手出ししたい、そういう時だってある。それが悪いわけじゃない」

「だったら…!」

「だったら、覚悟を決めなさい」

「…覚悟〜…?」

「干渉する時は感謝されることよりも批判をされることを考えないといけない。そしてそれがどんな結果になろうが、どんな批判をされようが、それを受け入れなければいけない。他者の運命に自分の意思で関わるなら、それ相応の覚悟を決める必要がある。覚悟もなく他人に干渉するものじゃないよ。覚悟の無い干渉は、ただの好奇心だ」

今回、あなたたちにその覚悟はあった?

誰も答えられなかった。勿論そんな覚悟なんてなかった。関わったのに、あの結果は自分には関係ないと思ってしまっていた。覚悟のないものが首を突っ込むとそうなることを解っていたから、シュガーは徹底的に干渉するのを避けていたのだろう。

「…正義感は良いことよ。人を助けたいと思うことも。…けど、覚えておいて。それは時に人を傷付ける。それでも助けたいと、その非難も受け入れるという覚悟がないなら、
 …あなたたちの行動は、ただの独り善がりにしかならない」









CreationDate:2015.05.15
トルーナ村のイベントはマジバケをプレイしている時からずっと引っ掛かってました。思っていたところが書けて満足。




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