Girl's Side -Day3- 07

「ヤツの具合はどうだった?」

宿屋の外でガナッシュが立っていた。

「…ガナッシュ…まさかオマエがやったのか?」

「いいクスリになっただろう。あれで2,3日でもミルフィーユに介抱されればハートってものもわかるだろう」

「ガナッシュ…知らないの…?」

「え…???知らないって…???」

「死んだっぴ…。ティラミスは死んだっぴ…!」

「そんな…!!まさか…!!命にかかわるような傷じゃない…!!そんな深手は負わせていない…!!」

「ガナッシュ…!」

動揺したガナッシュは逃げるように走り去る。
シュガーは慌てて追いかけた。





「ガナッシュ…!待って…!」

ガナッシュとの距離は徐々に開いていき、シュガーはマッハラインを自身にかけ、速さを上げる。

「待っ、…て、ってば!…わっ!」

「!!」

ガナッシュを捕まえたもののスピードの上がりすぎで止まりきれなかったシュガーはそのままガナッシュにぶつかり、思いきり後ろからぶつかられたガナッシュは踏ん張りが利かず、二人で転がった。

「ご、ごめん…。…大丈夫?」

「…ああ…」

シュガーの顔を見ることなく立ち上がり、この場を去ろうとするガナッシュの服を掴み、制止する。

「…ガナッシュじゃないよ。あれはティラミスが自分でやった傷だった…」

「……。…それでも、そこまで追い詰めたのは俺だ」

「…なら、私たちみんなの責任だよ。干渉した、止めなかった私たちみんなの責任。…ガナッシュ一人が負うべきものじゃない。…人に干渉するってそういうものでしょう?」

ガナッシュは大きく息を吐いて振り向いた。自然と服を掴んでいた手が離れる。

「…わかってる。…取り乱した、…ごめん」

漸くシュガーの顔を見たガナッシュは、何かに気付いたように手を伸ばし、…途中で止めた。

「?」

「…頬、擦れてる」

「え?ホント?」

先程転んだ時に擦れたのだろうか。触ってみるとじんわり痛みが伝わる。

「……。…俺、先に行くよ」

「え…なんで…?」

「…まだみんなに会わせる顔がないんだ…」

「だってガナッシュの、「わかってるんだけど、まだ整理がつかない…頭を冷やしたい」……そう」

「…俺も俺でみんなを捜してみるから、そうしたらまた合流しよう」

「…わかった。……気を付けてね」

「ああ。……シュガーも」

ガナッシュは背中を向けて歩いていく。
シュガーは何故かかすり傷がズキズキと疼くような気分がして、頬の傷に手をやりながら見送った。









CreationDate:2015.05.15




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