Boy's Side -Day2- 07 「…知らねぇぞ、それ…」 「お前はこの時どっか行ってていなかったな。……何を言ってんだって思ってた。けどさっきのエニグマの話、カベルネの兄貴の話…」 「…エニグマが憑いたのはガナッシュの姉貴で、3年前の戦争を引き起こしたのもそいつだって?」 「…信じられなかったが首謀者は一人だ。そう考えりゃ全てが繋がる」 信じがたいが合点がいく見解であった。それが正しいのならば、臨海学校が決まったときやヴァレンシア海岸でのガナッシュの態度も納得できる。 「…3年前と15年前の関わりは…」 「15年前の戦争の後、男が敵と締結したらしい」 「締結?何を?」 「不可侵条約さ」 この世界には手を出さないハズなのに マドレーヌの言葉が過ぎる。 「15年前の戦争もエニグマか…」 「多分な」 「…だからって今更何を…」 「校長曰く、軍には信頼できるやつはいねぇんだろ」 「!!…馬鹿な…!エニグマ憑きばかりだって言いたいのか?」 「ああ」 「…ならこれは完全に校長の…」 「描いた通りってわけだ」 「…っざけんなよクソジジイ…!」 「…」 ソルトは布団を思い切り掴んで俯く。カシスは何も言わず倒れるようにベッドに寝転がると、天井を見上げて大きく溜め息を吐いた。 夜も深くなった。部屋にある時計は日付の変わる時間を差している。カシスのベッドの布団が動かないところを見るともう寝たのだろう。ソルトはカシスの方を一見し、寝ているのを確認すると布団から出て窓に映る月を眺めた。 思うことは先程までの会話とシュガーのこと。そして──… 「…依存してるのは俺も同じだったか」 まさかシュガーのいる場所が解らないだけで寝られなくなるとは思ってもなかったとせせら笑う。 あいつも寝てないんだろうな。 無茶ばかりするくせに、人を気にかけ自分の弱いところを見せようとしないシュガーを頭に浮かべる。シュガーは自分の要求を押し通すように見えるが、本当に大事なことは何も言わない。そういう時はソルトにも甘えを見せることはない。例えどんなに依存していようとも。 ソルトが可哀想だって言われたの。 ラベンダーに唆されて一人で外に出た時、ソルトは怒った。何で一言言っていかなかったのかと。…ソルトもソルトでその様な重要な事を隠していたわけだから、その事を知らなかった彼女に怒る資格はなかったかもしれないが。 その時の返答だ。 ああ、あいつがそうなったのは俺のせいだったか。 過去を思い出して目を伏せた。 CreationDate:2010.01.04 ModificationDate:2015.05.11 [ 7/7 ] [ 51/79 ] [Put a Bookmark] ← 戻る |