Boy's Side -Day2- 01

「……っ」

ソルトが目を覚まし、体を起こして周りを見て最初に目に入ったものは随分と高い塔だった。

「…どこだここは、……?」

ふと覚えた違和感に、ソルトはもう一度辺りを見回す。


……いない。


「…シュガー…」

名前を呼んでみても、勿論この場にいないものからの返事はない。

繋いでいた筈の左手を見て握り締めた。

「…さて、これからどうしたものか」




まずは情報を手に入れる必要がある。一際目立つ高い塔に向かって歩くと、途中で鼠を見かけた。

「…鼠?」

その言葉が聞こえたらしく、鼠が叫ぶ。

「失礼だな!俺たちはピップルス!ピップルスタウンの住人だ」

「ピップルスタウン…」

自分の今いる場所の名前は解った。しかしまだ今いるプレーンもわからない。どこに何があるかもわからない。シュガーを探すにしても、この状態だとただ迷うだけになる。他のクラスメートを探すにも同じ事だ。

「おい、ここからどう行けばどこに着くのか教えろ」

「命令かよ!…何だ?お前光のプレーンは初めてか?」

「ああ」

「じゃあこれやるよ」

何ともまあ、優しいピップルスである。
光のプレーンの地図をもらったソルトは早速広げて覗きこんだ。

「ココがあの塔か?」

「そうそう。ラ・ロッシュの塔だ。ここを町に出て、この道ロッシュの一本道をこう抜けると、レーミッツ宮殿の出口に着く。でもここを逸れて行くと、ドワーフの住んでいるゲアラヴァ村に入る」

「…そうか」

まずはどちらに行こうか。

「なんだ、兄ちゃん。探し物かい?」

「まあな。色々情報サンキュー」

「困ったやつを見ると助けたくなるのが俺の性質でね」


じゃあな。


ソルトは見送るピップルスに手を上げて、その種族の集落であるタウンに足を踏み入れた。









CreationDate:2008.08.26
ModificationDate:2015.05.09




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