Day1.02

ソルトは職員室の前にいた。
話しかけようとしたシュガーの耳にマドレーヌとグラン・ドラジェの声が届く。


『わかりました…』

『大丈夫、君ならやってくれると信じている』


「!」

私はこの場面を知っている。
…始まるんだ。始まって、しまう。

シュガーの胸がどきついた。

「…?」

不意にソルトが振り返り、立ち止まっているシュガーを目に入れる。

「いつからいたんだ?」

「今さっきだよ」

「お前、「シュガーちゃん!ソルトちゃん!」…」

ソルトが口を開くがペシュの大声で遮られ、シュガーはほっと息をついた。
ソルトは多分、職員室の会話がシュガーにも聞こえたかを訊ねようとしていた。聞いてない。それだけを言えばいいのだが、動揺している今ソルトを誤魔化すことはできなかっただろう。

「ペシュ」

「こんなところで何をしてますの!もう、バスが来てますの!バスはバスでも、ただのバスじゃありませんのよ!グラン・ドラジェが、ゲアッツァ王からいただいた魔動力バスですの!」

「…別に聞いてねぇけど」
「そんなことはどうでもいいですの!!」

…なら言うな。
二人の気持ちはシンクロした。



「ヒョアアアアアアア〜〜〜〜!!」

突然カフェオレのものらしき奇声が響く。ドタバタと音を立てながら声の持ち主が音楽室から転がり出てきた。

「タスケテクレ〜〜!!」
「カフェオレちゃんも早くバスに乗りますの!!」

「えっ!?助けを求めてるのに理由も聞かず!?」

「…どうでもいいんですの。今は速くバスに乗る事が大切ですの!」

おい、愛の大使よ。
二人の気持ちはシンクロした。



「…カフェオレちゃん。何がありましたの?」

ペシュはンンっと喉を鳴らして仕切り直す。

「ミンナト オンガクシツデ キャンプノハナシヲシテタンダ。ハナシヲ シテルウチニ コワイハナシニ ナッチマッテ…」

ヒョア〜〜〜〜〜!!!!

その怖い話を思い出したのか、カフェオレはまた叫んで走り去った。

「…まったくみんな不真面目ですの!!二人は、音楽室のみんなを呼んできてほしいですの!私はゼン部屋に行きますの!」









CreationDate:2005.10.31
ModificationDate:2015.04.22




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