Girl's Side -Day2- 09

扉の閉まる音がして数分、ふっと息を吐いたガナッシュはようやくシュガーの口から手を取った。

「…大丈夫か?」

「ガナッ、シュ…」

今のシュガーとガナッシュの体勢は、口を押さえて引っ張ったことにより、後ろから抱きしめている状態になる。それに気付いたガナッシュは慌てて放そうとしたが、抱えている腕をシュガーが掴んでいるので無理に放すことは止めた。

「…シュガー?」

「!!…っあ、ごめん」

立ち上がろうとするシュガーを今度はガナッシュが放さない。

「…シュガー、落ち着け。大丈夫だ」

「…っ」

シュガーは震えていた。

「大丈夫」





「…落ち着いたか?」

「…うん、もう大丈夫。…ごめんね、迷惑かけちゃって。……部屋に戻ろう。今のことは、冷たいけどこの村の問題で、私達の関わって良い問題じゃないだろうし…」

そう特に理由を言わず流し、部屋に入ろうとするシュガーを引き止める。

「ガナッシュ?」

「…俺には頼れないか?」

シュガーは目を丸くして、そうして笑った。

「ありがと」


それは無言の拒絶に見えた。


きっと俺じゃ駄目なんだろう。
…ソルトじゃなければ。


部屋に戻るシュガーの後姿を見てそう思ったガナッシュは、何ともいえないもやもやした何かが生まれるのを感じ、


そして──


「…今、何を、考えた…?」


───信じられなかった。信じたくなかった。

最低なことを考えてしまった自分が。





彼女には眩しくて近付けないから、ココまで堕ちてきてほしいだなんて。





(許されることじゃないのに)









CreationDate:2010.01.04
ModificationDate:2015.05.08




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