Girl's Side -Day2- 07 村長の家では村長の血族と思しきパペットが迎えてくれた。 「ようこそ、トルーナ村へ。村長はあそこにいるシフォン・トルーナ。私はシフォンの孫娘のミルフィーユ。よろしくね」 「キレイなお姉さんだっぴ……」 ミルフィーユに目を奪われるピスタチオ。 「…?どうかしましたか?」 「お姉さん、ステキだっぴ!」 「ありがとう。貴方もステキよ。貴方みたいなキュートな子に会うの、800年の人生でも初めてよ」 ミルフィーユの言葉を聞いてピスタチオは驚き飛び跳ねた。 「800年!!?それじゃお姉さんじゃなくておばあさんだっぴ!!」 「ピスタチオ〜!失礼よ〜!パペットは年を取らないの〜!!」 「えええええええ!?それじゃ奥にいるヒゲのパペットは!?」 「あの人は生まれた時からあの姿でこの村の村長よ。パペットはみんな生まれた時からず〜〜っとなにも変わらないの」 辺りを見回し感慨深そうにキルシュが呟く。 「不思議な村だな…。時間が止まっていて…それでいて少しずつ壊れて行くような…」 「何ポエム表現してんの?キルシュには似合わないから止めたほうがいいよ」 「…お前、いつも思うけど酷いやつだよな」 「村長に遺跡を抜ける許可をいただきたいのだけど」 「そこで無視かよ」 「ピスタチオ、今日はみんないるからまた今度二人きりで会う約束しとけば?」 「……」 完全にスルーを決め込まれたキルシュは、ツッコミを入れるのを諦めた。 「そうよ〜年上だけどステキよ〜〜〜」 「そんなんじゃないっぴ!!行くっぴ!!」 「村長さん」 「はひゃ。どなたさんでしたかの…」 「不躾で申し訳ないが遺跡を抜けたいんだ。許可をもらえないかな」 「はひゃ。許可か。よかろう。しかし、今日はもう遅いのお」 窓から見える空は薄暗くなっている。 「明日また来てもらおう。そしたら、そなたらにわしのモモヒキをあげよう。それがあればのぉ、遺跡に入れるハズじゃ。のぉ、ミルフィーユ」 「モモヒキじゃありません。おじいさま。ウークルの羽です。ウークルの羽を持つものだけが遺跡に入れるのです」 「そうそう、ウークルの……それがあると、えー…夜もあったかくてぐっすり眠れるんじゃったかの…?」 シフォンとミルフィーユの会話を黙って聞いていたシュガーがガナッシュに耳打ちした。 「あの人、大丈夫かな?」 「…………さあ」 「それはモモヒキ。おじいさま、ご心配なく。ウークルの羽は明日私がお渡しして遺跡にも案内して差し上げます」 「おお、連れて行ってくれるか。それはすまぬの。遺跡に行くのも何年ぶりじゃ」 「ソルトがいなくてよかったね。殴ってたかもしれない」 「…。…だな」 「案内して差し上げるのはおじいさまでなく旅の方です。おじいさまはここでゆっくりなさいませ。お体に響きます」 「おお、そうかそうか。それがよかろう。それじゃ、また明日来るがよい」 漸く話が付いたらしい。ミルフィーユはシュガーたちを振り返ると、ニコリと微笑んで宿屋の位置を教えてくれた。 「この家を出て直ぐ右に行くとティラミスが経営している宿屋があります。ではまた明日。お休みなさいませ」 「ありがとな!」 「おやすみ〜」 CreationDate:2010.01.04 ModificationDate:2015.05.07 [ 7/9 ] [ 42/79 ] [Put a Bookmark] ← 戻る |