「……洞窟に行かないと」

「…お前、何知ってんだよ」

エニグマに対してみんなが驚いていたときも、シュガーはどこかわかっていたように思える。今まで引っ掛かっていた違和感はそこにあるのだろう。

「……何も、知らない」

「な、「何も知らない！」……わかったよ。……洞窟だな？さっさと行くぞ」

「……うん、…ごめん」

ソルトは無言でシュガーの手を引いて洞窟に向かった。





「嫌な空気だな……」

洞窟の中は先ほど探検した時以上にどんよりとした空気が漂っている。
奥に進むと、見覚えのあるものが一人、隠れていた。

「セサミ！？」

「！！シュガー、ソルト！あのヘンな生き物はいなくなったか？」

「…一応はな」

「ひゃぁ〜〜〜〜！助かった〜〜〜〜！！どうなることかと思った〜！！アイツら、奥の渦巻きからフーッと出てきたんだ！！俺最初から見てたから、ヤベーと思ってすぐ隠れたんだけど、正解だったな。この洞窟の奥にいつの間にか渦巻きができてたんだよ！！怪しい感じだぜ！！近くに行かないほうがいいぜ」

「…ずっと見てたの？」

「ああ！」

「…皆が消されてる間も？」

「見てたけど隠れてたな！」

「……助けようとも、せずに？」

「あんなヤベーの、絶対敵わないって！」

「……そう」

「仕方ねーだろ。まだコイツガキだし、敵わないと思う相手に立ち向かわないのは賢い選択だからな」

「……なんだよ二人とも…。俺が悪いみたいな言い方しやがって！」

二人はセサミに何も返さず、渦巻きの前に進みよる。

「あぁ〜〜〜〜ッ！！お前らも行くのかよ！！」

「「………」」

「ま、オレは残るけどな。それじゃバイバイ」

二人は繋いでいる手を深く握りなおして黒々しい渦の中に体を乗り出した。





「あ〜…………。バッカだなぁ………。どこに行くかわかんねぇんだぞ。まったく………」

二人が消えた渦を見て呟く。



「…なんだよ…。あんなのに敵うわけねーじゃんか…」


洞窟を出ようとしたセサミの後ろから一つの黒い影がニヤリと笑って近づいていった。









CreationDate:2008.08.24
ModificationDate:2015.05.04

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