Day2.10

「……最低だ、私」

「まあ八つ当たりだな」

「!」

自分以外いないと思っていたところに返答が来て驚いたキャンディは、小さく悲鳴を上げて振り返った。面倒臭そうにコテージの壁に凭れているソルトがいる。

「…ソルト…聞いてたの?」

「俺が寝てた所で話し出したお前らが悪い」

ソルトはマドレーヌの一時間解散宣言を聞いてから、特にやらなければいけないこともなく、コテージの裏の陰で仮眠を取っていた。そこにキャンディとガナッシュが来て話し出したため、目を覚ましたのだった。

「…うう…。……ガナッシュってさぁ、シュガーの事好きなのかな」

「なんで俺に聞くんだよ」

「……なんとなく……」

「……何て言って欲しいんだ?」

「……、…何てって…」

「肯定と否定。どっちをお求めだ?」

「な、どっちが良いなんて、ただ私、聞いただけじゃない!」

「最初から答えが用意されてる質問に答えること自体面倒だ」

「……え?」

「俺が肯定してもそれを認められないやつは俺が間違えてると思うだろうし、否定しても最初からそう思ってるやつは俺が気付いてないだけだと思い込む」

ソルトの言葉にキャンディは何も言い返せずに俯いた。図星だったからだ。
ソルトはそんなキャンディを腹立たしげに見る。脳裏に昨日の朝のシュガーの言葉が流れた。


悩むのは悪いことじゃない。わかってる。わかってはいるが、どうにも苛々が収まらない。…これこそ八つ当たりだ。それも自覚している。


「…悩むのは悪くねぇ。答えがでるまで悩んだっていいだろ」

「!」

「時間掛かっても、自分の答えを見つけて自分の思う最善の道に進めれば、それが正解だ」

「…ソルト…」

「ってシュガーが言ってた」

最後に付け加えられた言葉に、キャンディは思わず吹き出した。









CreationDate:2008.08.24
ModificationDate:2015.05.02




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