Preparation.

「みなさん、来週から臨海学校をすることになりました」

放課後、マドレーヌは教卓に立って発表した。海、旅行、キャンプ。心踊る言葉に生徒達は盛り上がる。

「細かい事項は今から配るプリントに書いてあります」

そう言いながらマドレーヌはみんなにプリントを配ると、それじゃあまた明日、と教室を出ていった。

「普通もっと前から計画されてるものなんじゃないの?」

「いいじゃん、別に!楽しそうだし!」

「おい、このプリント見ろよ。何泊か書いてねぇぞ。一番重要だろ」

「忘れたんだよ。あの先生、結構ぼうっとしてるし」

みんながわいわいと盛り上がる中、シュガーはガナッシュが一言も話していないことに気付く。ガナッシュは冷たい目でプリントを睨み付けていた。

「…ガナッシュ?」

「!…俺、もう帰るよ」

「え、あ、うん。…バイバイ」

「じゃあな」

「ガナッシュ、また明日」



「…シュガー」

ガナッシュは、教室を出る前にシュガーに小さく囁く。

「え?」

「明日から朝は行けない」

「え、なんで、」

「ごめん」

ガナッシュはシュガーの言葉を最後まで聞かず教室を出た。




その言葉通り、臨海学校が始まるまでガナッシュがソルトを起こしに朝合流することはなく、それどころか最低限の交流でさえ持ちたくないとでも言うようにシュガー達を避けていた。




楽しかったから忘れていた。
自分が闇の住人で、
光の中に入る資格などないことを。









CreationDate:2005.08.19
ModificationDate:2015.04.21




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